おまけ9話『壁に潜んだ黒い影』
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かの声、それと一緒に俺の顔に熱い何かが飛び散った。
多分、血だ。
そう思って、けれどもうなにもわからなくなって、どさりと。
何かが倒れた。
いつの間にか白かった視界が黒く染まっていた。
――決着の刻。
ガープの拳を受けてなお、奥義を放ったハント。
カウンター狙いどころかどころか相討ちすらも望まない、一撃を耐えることに全身全霊を注ぎ、ただ一度の反撃に身をささげたハントの掌底はその狙い通りにガープの腹部へと突き刺さり、標的の身を爆発させた。
結果は――
「……ごふっ……はぁ……はぁ」
一度は地に伏したものの、それでもゆっくりとした動作で体を起こしたガープと。
「……」
倒れたままピクリとも動かないハント。
――一目瞭然だった。
立ち込めていた視界を妨げる煙は、ガープとハントのたったの数合の打ち合いによって生じた風によって吹き飛ばされていた。もはやほとんど存在しない煙は意味をなさず、それらの全容を余すことなく周囲の人間たちへと伝えていた。
「ハントっ!」
それらを見つめていたエースが駆けつけようとして、だが既に煙は晴れているのだ。白ひげとエースという決して逃がすわけにはいかない標的を海軍の兵士たちがただで放置しているはずがない。
大将たちは逃げようとしているルフィやジンベエたちを標的としているためこの場にはいないが、それでも今エースたちに立ちふさがっている海兵は先ほどのハントとエースの『漁火 炎神』に耐えきった猛者たちだ。いくらエースとて容易に一蹴できるようなものたちではない。
かと言って白ひげも――
「おれが……ぐっ」
「おやじ!?」
――どう見ても放ってはおけない体調だ。ハントを助けようとする隙に白ひげの体調がさらに悪化してとどめを刺される、なんてことも十分にありうる話だ。放っておけるはずがない。
二人が結局はなすすべなく目の前の敵と戦っている最中にも、ハントの状況は悪化していく。
「……まさか捨て身とはのう」
息を切らせて、倒れたまま動かないハントを見つめるガープが何かを懐かしむような目をして、けれどそれも一瞬のこと。すぐさまとどめを刺そうとゆっくりと地に伏しているハントへと歩み寄る。
ガープは実に奔放な人間で、確かに海賊からは悪魔と言われてる。だが決してむやみに命を奪うようなことをする人間ではない。そのガープが、もはや動き出す気配すらないハントへとトドメの拳を振り下ろそうとしているのは、ハントが動くことを確信しているからに他ならない。
今は気を失っていても少し放置すればきっとまた目を覚ましてまた戦局に左右することが明白だからだ。
それほどの気迫を、ガープは今のハ
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