おまけ9話『壁に潜んだ黒い影』
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また、心のどこかでうれしいと思ってしまう。
「……なるほど、のぅ」
ふと、声を漏らして立ち上がったガープと、また視線がぶつかり合った。
そのぎらついている強い視線にも、負けない。
あのバカみたいな速度にも、もっとバカみたいな拳骨にも、負けない。
「俺が……勝つ!」
言葉に、気合を込めて、拳を振るう。
「おもしろくなってきおったわ!」
ガープもまた同時に動く。今度はどうやら俺のやることを察したらしく、そこから横に移動。
「魚真空手、鬼瓦正拳!」
ガープがつい先ほどまでいた場所で、空気の大爆発。既に間合いをつぶそうと踏み出そうとしているガープに、けれど俺の方が先に動く。
「魚真柔術、気心、気流一本背負い!」
空気を掴み、一本背負いの要領で空気の塊をガープへと叩き付ける。殺到する空気の圧力、奔流に、流石のガープもたたらを踏んだ。本来ならその威力で気を失ったり、吹き飛ばされたりしても可笑しくない威力なのに、ガープに対する影響はどうやらたたらを踏むという、僅かにバランスを崩す程度のもの。
相変わらずの化け物っぷりだけど、それはもう知っていることだからうろたえたりはしない。むしろ、それで十分だ。
僅かとはいえバランスを崩した。その隙を、当然だけど見逃さない。
「魚真柔術、気心、一本背負い!」
赤犬を大地に投げつけた技だ。
対象となる人物の周囲の空気ごと掴み、一本背負いの要領で距離に関係なくぶん投げる。むしろ距離があればある分だけ遠心力も加わって、大地にたたきつけるときに威力が増す。対象の周囲の空気ごと掴んでいるから、相手がロギア系だったり、ルフィのように打撃の効かないような能力者でない限り、大地に叩き付けた時の衝撃で大ダメージを与えることができる。
身動きさせないから受け身も取らせない。能力者でないガープならこれで決着がついてもおかしくはない。
「むおっ!?」
ガープの驚きの声を背にして、空中へと持ち上げて、そこからそのまま大地へとなげつけようとして「ふん!」というガープから声が聞こえたと思った途端に、空気の拘束が弾かれた。空気を掴んでいた両手がしびれて、何が起こったのかわからずに一瞬だけ呆然としてしまった。
「……っ」
混乱しそうになって、すぐにわかった。
強引に空気の拘束を振りほどいたんだろうか? 力が入りにくいように拘束したのに? ん……? というかそもそもどうやって空気を弾いた!?
俺が落ち着きを取り戻す間に着地していたらしいガープと、また対峙する。
「っ」
強い!
わかってることだけど、そう唸らずにはいられない。
けど、唸ってる暇なんかない。
「魚真柔術!」
また
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