おまけ8話『新たなる火が灯る日』
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全ての思いを乗せて、ハントは叫ぶ。
「このっばかひげがぁっ!」
海賊として、エースたちを逃すために白ひげが命を張っている。ここが白ひげという人にとっての最後の舞台として、すでに覚悟を決めていることを、ハントはわかっている。
それは船長としても、父親としても、きっと白ひげからしてみれば当然のことで、命を張るにふさわしいことなのだろうということも、もちろんハントはわかっている。
これはハントの単なるわがままだ。
それを、ハントも理解はしている。
白ひげには白ひげの生き方がある。
彼らという海賊がどう生きても、それはハントが文句を言う筋合いなどない。
けれど、ハントには浮かぶのだ。
『俺がオヤジを海賊王にする』
エースが言っていた。
この時の彼の表情と言葉は確かに海賊のそれで、けれど家族のそれだった。
白ひげはハントの父親ではない、それでも確かに友人の父親だ。
それはもはやハントにとっては他人事ではない。
自分の境遇を勝手に重ねて、白ひげ覚悟を勝手に否定して。
ハントは思う。
白ひげを亡くして、エースたち白ひげ海賊団が何を思うか、どう思うか。
それを思うからこそ、ハントは叫ばずにはいられなかった。伝えずにはいられなかった。
だから。
ハントは声を大にして、殿をつとめようと海軍をにらみつけている白ひげの前に立つ。
「俺が殿だっ! 白ひげさん……いや、白ひげ! あんたこそさっさと行け!」
「……」
白ひげは大海賊で、ハントはいわゆるルーキー海賊。
そのランクの差は海のように広く、深いほどの隔たりがある。
にも関わらずまるで同等かのように白ひげの意見に反抗して、白ひげを呼び捨てにして、あまつさえ命令までした。
そのことにわずかだが、その場の空気が止まる。
そんな一瞬の隙間に入り込んだのは海軍たちの声でもなく、白ひげの声でもなく――
「ハント! 俺はとめねぇ! 絶対生きて帰って来い、船長命令だ!」
――ルフィその人。
「当たり前だ!」
ハントとルフィの、見えない絆と固い約束。
それが、場の緊張を解いた。
「白ひげを討ちとれぇ!」
「海坊主もだ!」
「モンキー・D・ルフィとポートガス・D・エースを逃がすなっ!」
ハントの決意を、海軍たちが呑み込まんと襲い掛かる。
ハントとルフィの会話でもって、動き始めたのはもちろん海軍だけではない。
海軍の、おそらくは最優先の目標として標的とされているエースたちも当然ながら動き始めている。
「っハントの奴! 勝手なことをしおって!」
歯噛みをしつつも、さすがにエースとルフィの二人から目を離すわけにもいかず、ジンベエが悔
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