おまけ8話『新たなる火が灯る日』
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トは首を振って拒絶する。
「もう、体……動かないんだろ?」
「そんなことねぇよ!」
ジンベエの背中から強引に飛び降りたルフィは、だが次の瞬間にはへたり込んでしまう。
「ほら、な? だから、ルフィ……いや船長、頼む。許可をくれ」
「……何を――」
――言ってるんだ?
言葉を挟もうとしたエースや、ことの成り行きを見守りながらも首をかしげているジンベエの理解を置いて、ハントはそっと、いつものようにどこか頼りない笑顔で言う。
「ここに残る許可を」
ざわりと、そのハントの言葉でまた周囲に喧噪が戻った……そんな空気へと変貌した。
いくらハントが大将の一角を破り、白ひげが死を覚悟して殿を務めているといっても、今この場を海軍から逃げることは容易なことでは決してない。赤犬が敗北したことで、海軍の気勢は間違うことなくそがれている。動揺も広がっていることだろう。今が逃げるための最大のチャンスなのだ。
そのチャンスを、白ひげが殿をつとめるという、白ひげの死によって成り立とうとしている最大のチャンスをハントはみすみす逃そうとしてる。
だから、ハントの船長に対する言葉に反応したのは船長その人ではなく、ジンベエとエース。
「ここに残るとは……どういうつもりじゃハント!」
「てめぇ、オヤジの言うことが聞けねぇってのか!?」
「ルフィ君とエースさん、それにハント! 間違いなく今狙われているのはここじゃ! 一人でも多く生き残ることがオヤジさんの願いじゃ!」
「世迷言はいいからさっさと来い、ハント!」
交互に、まるでマシンガンのようにハントへと飛来する言葉と唾に、ハントの表情が一気に変化した。
「……は?」
首を傾げて、眉を吊り上げて。
それはおそらく、ジンベエもエースも始めて見ることになったハントの表情。
「ふざけんな」
怒りを滲ませ、それでもまるで冷静を気取るかのように。
それはおそらく、ジンベエもエースも始めて聞くことになったハントの声色。
「なんで俺が白ひげさんの言うことを聞かなきゃならない」
「……はっ?」
エースに向けられたそのハントの言葉に、エースが驚愕の表情に。
「なんで俺が白ひげさんの願いに応えようとしなきゃならないんですか」
「……なっ」
ジンベエに向けられたそのハントの言葉に、ジンベエが驚愕の表情に。
ハントたちがその場で足を止めている間にも状況は刻一刻と変化していく。
「おいなにやってんだ! はやく逃げんぞおめぇら!」
「オヤジの覚悟を踏みにじる気かっ!」
前線にまでいたメンツも白ひげの命令通りに撤退を始め、ハントたちの場所を通り過ぎようとしている。このままぐずぐずしているとハントたちが最後になっ
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