おまけ7話『真なる力』
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魚人柔術の技術と大気の心を理解したハントは、更なる力を秘めている。使いこなせなかったはずの力をも発動するこができる。
つまり。
「――柔術!」
柔術も、今となっては発動できる。
言葉を紡ぐと同時、また先ほどと同じように体の前に突き出した両手で、大気を握りしめたハントはそのままクルリと背を向けてそれを全力で、一本背負いで大地へと投げて叩き付ける。
「――気心! 一本背負い!」
ハントに使えなかったはずの魚人柔術。いや、今となっては魚真柔術。それは従来の魚人柔術のように水を理解し、水を掴むのではない。大気を理解し、大気を掴むという新たな技だ。
「むっ!?」
空気を投げつけるという技を、見聞色で察していた赤犬だったが、いきなりのそれに対処ができなかった。いや、対処をしようと試みはしたのだが動けなかったのだ。赤犬の周りに気流が生まれて、赤犬の体ごとそのハントの動きにつられて体を運ばれてしまっていたのだから。
自然と浮かび上がる体は身動きをとろうにもなぜか誰かに拘束されているかのごとく動かない。そのまま、ハントという点を中心として、赤犬がいた地点のちょうど反対側の位置にたたきつけられることとなった。
身動きがとれないため、受け身は取れない。とはいえ何かをする必要性はない。なにせ赤犬は自然系の能力者。地面にたたきつけられたからといってダメージはゼロだ。
「ふん」
どこかハントを小馬鹿にしたかのような息を漏らした赤犬はそのまま地面にたたきつけられたが、やはり無意味なものは無意味。体が地面にぶつかると同時、赤犬の体がマグマとなって周辺に飛散した。
もちろんその体を立て直すことに時間は必要ない。
ほんのコンマの時間があれば態勢は元に戻る。
だが、いや、だからこそ。
「このまま一気に決めてやる」
それがハントの狙いだった。
まるで誰かに語り掛けるように、呟いたハントが態勢を戻そうとする赤犬へと走り始める。
「っ゛」
まるで何事もなかったかのようにふるまっているハントだが、やはり体のいたるところにガタが来ているらしく、全力で走り始めた途端に口から血が漏れる。とはいえ、それはハント自身百も承知だったのだろう。
それでハントの足が淀むことなどなく、ひたすらに一直線に赤犬へと走っていく。
こぼれる血を右手で拭い、これでハントの準備は完全に整った。
「ふっ」
短い呼吸をして、そこから戦闘態勢へと移行。
左掌は赤犬に向けて、血に濡れた右掌は腰だめに構えて、そのまま一瞬でゼロ距離へと到達。もちろん赤犬もすでにそれを理解している。
ハントが技へと移行するとほぼ同時に、普通ならば誰もが対応
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