おまけ7話『真なる力』
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ることも忘れない。
「……」
黙り込んだ赤犬だったが、それは1秒にも満たないほんのわずかな時間。
たとえ目の前に、若干不気味な様子で佇んでいる男がいたとして、その後ろに王下七武海として数えられあげた一人がいたとして、そんなものは赤犬という人間の実力からして些細な問題だ。
ルフィとエースを逃がすことだけは絶対正義を掲げる海軍大将としての彼の正義が許さない。
だからこそ、赤犬は動くことにもう躊躇をしなかった。
「全員まとめて冥土に送ってやるわぃ!」
言葉とともに、距離が開いたままでそのマグマの拳を振りぬいた。
「大噴火!」
下手をすれば10mにも及ぶのではないかと思われたその巨大なマグマの拳に「いかん!」というジンベエの声と「っ!」というエースの焦った声が小さく漏れる。次いで「ハント!」という二人の慌てた声がはじけるのだが、ルフィとハントは動じない。
「『任せてくれ』ってハントが言ったんだ、ハントに任せろ!」と言ってハントに信頼の目を向けるルフィの声に反応したのか定かではないが、ハントはそっと、まるで誰かと会話をしているかのように言葉を紡ぎ、動き出す。
「誰もやらせないって……言ったばかりだぞ?」
ハントがそっと両手を前に突き出し、空中のままで何かを握ったかのように手を動かす。もちろんその手には何かが握られたわけではなく、そういったような動きをしてみせただけだ。とはいえそれでもハントにとってはそれで十分だったらしく、満足げにうなづきそっとその両手を大地へと振るった。
意味不明の行動。
「……?」
ジンベエもエースも、そしてルフィも同時に不思議そうな表情を浮かべた。だが、次の瞬間にはその表情が驚愕のそれへと変化する。
「なっ!?」
声を漏らしたのは先の3人だけではない、おそらくは赤犬とハントの動きを見ていた全員が少なからず声を漏らしていたことだろう。この戦場下でのんきにも驚いている場合があるのかと、赤犬が見ていたらしかりつけそうなものだが、当の赤犬でさえも驚いた表情を浮かべているのだからある種仕方がないという言葉で許されるだろう。
「なんじゃと!?」
赤犬の驚愕の声。腕が何かに引っ張られるかのような感覚を覚えると同時、大噴火という巨大な拳がそのまま引っ張られるままに向きを地面へと変える。
結果、赤犬の大噴火はハントたちの手前へとずれて、大地を焼くというだけに留まった。
何が起こったのか、真の意味で理解できた人間がどれだけいただろうか。
それほどに呆気なく、赤犬の拳が大地へと突き刺さっていた。
もちろん、赤犬ほどの男がその拳を振り間違えたなどということがあるはずがない。
ハントがそれをやってのけたのだ。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ