おまけ7話『真なる力』
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ハントの体力がまずありえない。けれど、それ以上にありえないのは――
「――本当にハント……なの、か?」
エースが漏らした言葉に、ジンベエもほとんど無意識で無言のままに頷いた。
確かに、体力の限界を超えて人が動くことがあるということは二人も各々の経験から既に理解している。けれど二人の知っているハントならば、そんな己の限界を超えてまで動けるようなナニカは持っていなかった。
インペルダウンとこの戦場の中でハントを見てきたジンベエは確かに彼の成長を実感していた。だが、それでもまだそんなナニカがあるようには見えていなかった。まだまだどこか甘ったれた、そんな雰囲気は確かにハントにはあったのだ。
だが、そんなハントの醸す空気がどこか違っている。
だから、やはりありえない。
赤犬に倒される前と今。男子三日会わざれば刮目せよという言葉は二人も知っているが、そもそも三日どころか3時間もたっていないような時間にそれほど劇的に人が変化することなどあるのだろうか。
「師匠、ルフィとエースのことをお願いします」
「……は、ハント」
ハントに言葉を投げかけられても、まだろくに実感をもてずにいるジンベエがゆっくりと頷きかけて、それからやっと頭が働き始めたのか、唾を飛ばしながらハントへと怒鳴りつけた「い、いや……このアホウ! 師匠が弟子に背中を守らせて逃げるなどっ! ワシが殿を務める! ハント、お前がルフィ君を連れて――」
改めてハントの前に立とうとしてだがそれは叶わなかった。
なぜなら。
「先ほどわしの拳を止めて見せたんも貴様か?」
赤犬の言葉が空気を切り裂いていたから。
「……だったら?」
悠然と、いつものように魚人空手の構えをとってハントが答えた。
海軍最高戦力の一人として数えられている赤犬とハントには歴然とした差が存在している。にも関わらず、そんな余裕の見て取れるハントの態度に赤犬が警戒を高める。
当然といえば当然かもしれない。赤犬が、今目の前に立っているハントに完勝してかたらまだ大した時間もたっていないというのに、このハントの余裕の態度はいったいどこから出てくるというのか。さらに言えば、まだ赤犬には先ほど自分の拳が空中で止まった原因を把握できていない。
これを不気味と思わずしてどう捉えればいいのか。
ハントは能力者ではない。それはハントがこの戦場に乱入してきたときに能力者のルフィを海中から引っ張り出してきたことからも簡単に推察できる。ならば、それこそいったいどうやって空中で赤犬の拳を止めたというのか。
赤犬はハントをにらみつけ、次いでその後ろにいるルフィとエースをにらみつける。いつでもハントと赤犬の間に割って入ろうとしているジンベエの気配に注意を配
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