おまけ7話『真なる力』
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、いったい何ができるというのだろうか。
いや、できない。
……だからこそハントはいつも最後の壁を超えることができていなかったのだ。
「サンキューな、ナミ」
自分が強いと、ハントが思えるようになった言葉をくれたその人物へと。ハントはそっと感謝を述べる
――やっぱ、俺の全部はナミから、だよなぁ。
恥ずかしそうに、そして、誇らしげに。
ナミを守るために、ベルメールに本格的に戦闘術を教えてもらい始めた。
ナミと一緒にいるために、ルフィたちのもつ自分を信じるという強さに触れることができた。
ナミに『私が保証する。あんたは強い。絶対に強い!』という言葉をもらったおかげで、ハントは自分が強いということを認めることができた。
全ては、やはりナミ。
これまでずっと自分が弱いと思ってきたハントの心が、ナミの一言でまるで別のものへと変貌していた。
それは赤犬に負けたことで絶望と死の淵にいたからこそ、なおのことハントにとっては希望の言葉となってハントの最後の枷をほどいていた。
――ほんと、ナミには一生かないそうにないな。
自分は強いと、今では心の底から言い切れるはずなのに、それでもきっとナミには勝てないと心の底から思っている自分が楽しくて、そしてなによりも嬉しくて。
ハントはゆっくりと魚人空手を構えて、そっと、誰に言うでもなくハントは言葉を落とした。
その言葉に込められた感情はかつてないほどに――
「俺は強いぞ、覚悟しろ?」
――力強い。
風にたなびく灰色の甚兵衛。
「……ハン、ト?」
そんな背中を、どこか呆然と見つめながらジンベエとエースがその名前を漏らした。
既に赤犬に敗北して、もうこの戦場では完全にリタイアしていたと思われていたその男の名前に、彼らは自分でもあまり信じられないのだろう。どこか空気の抜けたような面持ちでその背中を見つめている。
そんな二人とは対照的に、明らかに疲れているもののそれ以上に明るい「ハント! やっと目ぇ覚ましたか!」というルフィの声が、近くにいたエース、ジンベエ、それともちろんハントの耳にも響く。
ルフィの声を受けたハントは視線を赤犬から外すことなく、小声で言う。
「悪い、ルフィ。ちょっと寝てた……こっからは俺に任せてくれ」
「……わかった!」
まるで当然であるかのように違和感なく言葉を交わす二人だが、やはりジンベエとエースは信じられない思いでそれを見つめていた。
――ありえない。
そんな言葉を飲み込んで、ルフィと会話をしているハントの後ろ姿を見つめる。
そう、ありえない。
赤犬から一撃を受けて、こんな短時間で意識を取り戻して平然とした顔でいる
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