「光る砂」
[8]前話 [2]次話
5歳の息子と公園に行った時の事だ。
「パパ〜なんかキラキラしてるの何?」
見ると地面の砂に交じった何かがキラキラと輝いている。
「あれはねガラス質が……」
と、言いかけた瞬間、小学時代の記憶が甦るのだった。
◇◇◇
6年生のある日。日差しに照らされた校庭を見ていると、キラキラと光るものに気がついた。僕はその、ひときわ光るキラキラを目指して歩ていった。
近付きしゃがみこんで、まわりの砂ごとすくいあげた。手の平の砂の中には、光る粒があった。粒は無色透明で丸みを帯びていた。
僕は何か容れるものがないか探した。とりあえずノートを一枚切り取って皿がわりにした。すくった砂には、たくさんの光る粒があった。僕は大きな粒を選んではノートの皿に乗せた。僕は、この光る粒を「光る砂」と呼んでいた。そう、保育園の頃からよく集めていたのだ。
校庭を見ると無数の光る砂が、キラキラと、太陽の光りをあふれかえしていた。
見たことなかったが、きっと宝石ってこんな感じなのだろうなあと思った。そして、ふとサン・テグジュペリの「星の王子さま」のお話を思い出した。
「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからなんだよ……」
と、王子さまが言っていたのを。
だから僕は、それをもじって……
『校庭が綺麗なのは、小さいけどこんな綺麗な「光る砂」が、たくさん隠れているからだろう』
と、お話の一説をもじって、僕は思ったのだった。
おしまい
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ