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魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜漆黒の剣士〜
第21話 「歓迎会」
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わんばかりにシュテルは肉を刺していたフォークを俺の口の中に捻じ込んできた。味が最高なのは分かっているが、突然の出来事に味わう余裕はなく、俺は大いに咳き込む。
 ……この野郎、何で俺には押しが強いんだよ。他の人間にもそれくらいで行けよ。
 なんて思って睨む俺を華麗にスルーし、シュテルは何事もなかったように食事を始める。どうやら彼女の内にあった欲求は満たされたらしい。本来したかったこととは別のはずなのに、何とも代用が利くものだ。

「こっちのもめちゃくちゃ美味しいじゃない」
「うちのママがいないときは王様がうちのコック長なのよ」
「凄いねディアーチェちゃん」
「世話になっておる故な。まだまだ母上殿には及ばぬが……」

 ディアーチェ以上に凄いって……グランツ博士の奥さん何者なんだろう。博士達とは昔から付き合いがあるけど、何でか会えた試しがないんだよな。うちの両親とか叔母さんは会ってるらしいけど。
 まあ会ったらあったで面倒な展開になりそうなのだが……。
 これは俺の経験に基づく勘だ。俺には桃子さんやリンディさん、プレシアさんと意外と母親をやっている知り合いが多い。年頃の子供を持つせいなのか、あの人達は何かと色々な想像を巡らせてしまうのだ。
 まったく……何で母親ってああなんだろう。うちの母さんもあの人達と会っているときは色々と話してるのかね。
 そんなことを思っていると、ふとグランツ博士のほうに歩いていく高町が見えた。先ほど挨拶は済ませているが、知り合ったばかりの人間に躊躇なく近づけるのは凄いと思う。だがあれが子供らしさと呼べるものなのかもしれない。

「あのグランツ博士」
「ん、何だい?」
「さっき訓練室をいつでも使ってくれていいって言ってくれたお話なんですけど」
「あぁ、もちろん構わないよ」
「ありがとうございます。……えーと、その」

 どうやら高町の本題は礼とは別にあるらしい。しかも言いづらいことなのか、言い淀んでしまっている。
 あの子……いやあの子達は現在進行形で壁にぶつかってるわけだからな。これまでは自分達だけでやってきただけに、誰かしらにコーチでもしてもらいたいんだろう。
 そう思った俺が助け舟を出そうとした矢先、俺よりも先に口を開いた人間が居た。

「何か困っていることがあるのなら、そこにいるふたりにコーチしてもらえばいいのではないか?」

 発言したのはディアーチェ。彼女が言ったふたりというのはフローリアン姉妹だ。
 何となくではあるが、ディアーチェの考えたシナリオの全容が見えてきた。現状の理解と打開するための手段を与える。それが彼女なりの祝福のようだ。相変わらず面倒見の良い奴……。

「お、それは名案だね!」
「ええぇ!? デュ、デュエルの相手ならともかく……わ、私達が教えるだな
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