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極短編集
短編51「愛すべき退屈な日常」
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置いてあった。友達は……

『兄貴の形見なんだ』

 と、以前に来たときに言っていた。友達の部屋には兄貴の影響か、バイクやエレキの雑誌や漫画が置いてあった。

「今日はこれ読もっと」

 僕は違うバイク漫画を読み出した。

「コーラでいいよな?」

「あっうん。じゃあ頼む」

 しばらくすると、友達はコーラを持って来た。友達はジャスミンティーを飲んでいた。しばらくして……

「ぶはっ!」

 僕は思わず吹き出した。

「そのシーン笑えるよな!」

 と、友達は言った。

「お前分かるの?」

「それぐらい分かるさ」

 友達はベッドの上で足を組み直した。またしばらくして、僕は漫画を読み終えた。漫画から目を離して前を見ると、ベッドの前に座ってたから、友達のパンツが丸見えだった。

「お前さあ、足ぐらい閉じてろよ〜!」

 と、僕は言った。縞パンだった。

「あっごめん」

 友達は足を揃えてお姉さん座りになった。そして本当に済まなそうにしていた。僕は冗談のつもりだったから悪い気がした。

「そういや、ハングオンしてる時、パンツ見えてんだけど……」

「パンツ程度で動揺すんな!サービスだよ。サービスサービス」

 友達は明らかに動揺していた。

「誰かに見られたかな?」

 問題はそこか!?

「大丈夫、僕だけだった」

「じゃあ良かった」

 なにがいいんだ!?と思い言いかけた瞬間、友達は読みかけの雑誌に目をやっていた。なので、僕は言葉を引っ込めた。しばらくして……

「なあ、お前は縞パン好きか?」

 友達は僕に言った。

「えっ!?」

「縞パン」

 僕は正直に答えた。

「まあ縞パン好きだけど……」

「じゃあ良かった」

 友達は雑誌から目を離さずに僕に言った。漫画を読み終えた僕は、手持ち無沙汰になり、部屋の片隅に置かれた、友達のギターをおもむろに触った。

「アンプつなぐか?」

 と、友達は言った。
 
「いやいい」

 僕はストラトキャスターのヘッドから、ピックを取ると、ブルーノートを爪弾いた。

「お前、上手くなったなあ」

 友達は言った。

「ただ単に音階を弾いただけだよ。何かリフっぽいメロディーが弾ける訳じゃないし」

 僕もギターを持っていた。友達と同じストラトキャスターでなく、僕の持ってるのはレスポールだった。

「お前って、レスポール好きだよなあ」

 そう僕はレスポール好きだ。あの形がいい!

「エッチ!」

「えっなんで!?」

「だいたいレスポール好きは、女好きなんだよ〜。形からしてそうだよなあ〜。ボンキュボンで!」

 なんでだよ!?
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