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極短編集
短編50「英雄忌憚」
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落ち武者にも打ち身薬と称して、薬を飲ませた。こうして、子どもの手下は二人になった。
 海が近づいてきた。その時、矢が飛んできた。

コン!

 と、子どもは太い枝で、その矢を受けた。子どもは手下に指示をした。囲んで捕まえる事にしたのだ。弓を使ったのは狩人だった。間違えていってしまった!と、言っていたが、子どもは、ちょうどよい!と、薬を盛り手下に加えた。
 さてさて、一向は海に着いた。あたりの村で島の事を聞いた。

「なんでも、金銀財宝をしこたま溜め込んでいる奴らがいる島があるそうだが?」

「ああ、鬼ヶ島のことか!鬼のようなやつ等の島さ。お前、何で聞く?」

 ここで怪しまれても困ると思い、子どもは言った。

「いや、鬼の成敗にいくのさ!」

 すると村民は大笑いした。

「こいつはいい!本当にそうなったらいいが、奴らにたてつこうものなら命はないさ。大方、お主はどこかの商人のお坊ちゃんだろ?護衛を三人も連れて、諸国漫遊か!?」

 よし!と子どもは思った。これで少しは打ち解けた。

「ああ、だから舟を出して欲しい」

「お坊ちゃんは面白い事を言うな!そうかそうか、成敗でなしに商売か!?これは一本、取られたぞ」

 村人の思い違いで、舟が出ることになった。そして島に着いたはいいが。

「仲間になりたいだと〜!?ガキがなに言ってやがる!!」

 と、門前払いとを食らった。子どもは策を練りつつ、ひとまず海岸の村に戻った。

「いや〜!商談失敗失敗。そこで景気づけだ。売り物の団子を村民の皆さんにお安く売りましょう!!」

 子どもは破格の値で、団子を売った。こうして村民らを薬漬けにした。

「さあて、全面戦争だ!」

 そういうと真夜中、村民に舟を出させ島に向かった。島は要塞になっており、大きな門が邪魔をしていた。しかし、そこは身の軽い狩人!壁を登ったかと思うと、内側から開けてしまった。そしてまさか、殴りこむ者の事など考えてなかった島の奴らの守りは手薄で、連れてきた村民をなだれこませると、島の奴らを生け取りにした。もちろん、こちら側の村民も、かなり殺されはしたが、強い駒と代えるだけの話だった。
 こうして、島の荒くれどもも薬漬けにし、奴らがしこたま溜め込んだ金銀財宝を手にしたのだった。

◇◇◇

「こうして、手下を増やしたワシは、この国の殿様を裏で操れるようになった。もちろん薬でな。さて、そろそろお主にも効いて来たようだな。薬入りの団子が……」

 影の領主は手下を呼んだ。

「さて、そなたに選ばせてやろう。我が手下の三人、刀の犬飼、槍の猿渡、弓の雉間の三人と勝負して消えるか……薬漬けになり、次はこちらの密偵となり幕府に潜入するか?まあ、時間はある。よくよく考えよ」


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