誕生、前代未聞の冒険者
第四話
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帰ろう。時間の無駄だ。
「とーうっ!」
しかし踵を返す僕に立ちはだかる店主、リリアーナお姉さん。泥棒してないのに道を閉ざすなんて、卑怯ではないですか?
「やーゴメンゴメン。久々のお客様にテンション上がっちゃって!最近はダンジョンの近場に新しい武器屋が出来てお客取られてね。困ってたのよー。」
てへぺろと仕草をするお姉さんにイラッとしたのは秘密だ。
「それで、ヨーン君は電撃と冷気ね。耐熱はいらない?すごいのあるよ!」
しかし、仕事になると途端にキリッと人が変わる。こっちの顔が本物か。
「…じゃあお願いします。見せてくれますか?」
「オッケー、まずは電撃ね。『雷双刃 鳴神(ライソウジンナルカミ)』お姉さん自慢の一品だよ!」
「なら買います。」
自信満々に出された、黄色の双剣の購入を宣言すると、リリアーナお姉さんはキョトンとした表情をしている。
「え?いいの?もっと吟味しても良いのよ?」
「お客を満足させると言ったのはお姉さんだし。自信ありなんでしょ?」
僕の指摘に目を丸くしたかと思えば、リリアーナお姉さんは笑いだし、
「これは一本とられた!お姉さんから一本とるとは、自慢して良いよ!」
上機嫌になった。よくわからない人だ。
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冷気は用意に少し時間が掛かるとのことで、先に、防火、耐熱の防具を見繕ってもらった。
お奨めが、火に強い魔物の皮を幾層にも重ねて作られた黒塗りのコート。即決で購入し、早速着ている。サングラスがあれば、超人と化したあの方の真似も出来そうだ。
試しに被害を出さないようにホット・ペッパーの炎をコートに当ててみた。何ともない。店主はアレだが、品物は高性能揃い。
「やー、ヨーン君お待たせ!冷気だけど、どうせなら、と思って、杖にしてみたの!」
品物を出しに奥に行っていたお姉さんが差し出したのは、蒼白い先端が雪の結晶のような細工の、見事な杖。
「『雪杖(セツジョウ)ギンセカイ』。万年雪の針葉樹の枝から作られた、綺麗な杖。お姉さんの、イチオシよ。」
「大丈夫?どう見てもアーティファクト級の武器なんだけど。」
「問題ない問題ない。使う人に恵まれなきゃ、武器も意味無いもの。さあ、どうするの?」
「買うよ。これだけ凄いの、手放せないよ。」
「毎度ー!じゃあ合計で、365000000円頂きまーす!あ、払えないなら分割でも、お姉さんは構わないよー?」
からかうようなリリアーナお姉さん。払えないとでも思っているのか?こっちは億単位の支払いは覚悟しているんだよ。
「口座から一括引き落としで。」
「え?一括?そんなの、ええ!?五億!?稼ぎすぎじゃないのヨーン君!」
騒がしいな。半月籠ったらそうなったん
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