浄化
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た。速度を上げ過ぎるとエクトプラズムを追い越してジェネレーターを停止させられるし、かと言って遅すぎると攻撃に当たってしまう。ディフェンサーも暗黒物質で一時的に生み出された武器相手では防ぎ切れない。そのため際どいタイミングの回避を繰り返しながら、体感時間以上にかかるパイルドライブを進めるしかなかった。
それにしても考える事がある。ロキはイエガー社長として26年前、母さんを陥れた張本人。ヒュードラの事故があったから、姉さんは人としての命を失い、追放された母さんはプロジェクトFATEの研究を行った。そして……私が生まれた。
そう考えると私がこの世に生きている理由の一つは、このイモータルという事になる。別に感謝とかそういう感情は当然、全く湧き上がって来ないんだけど……少なからず思う所はある。ただ、それだけ……。
浄化が佳境に迫った時、ロキの反撃が更に激しくなる。正面から西洋剣、左右両側から曲刀が私目掛けて迫ってきて、咄嗟に私が取った対処は……ミッド式ゼロシフトで正面突破だった。西洋剣は私をすり抜けて後ろに通り過ぎ、曲刀も何も無い空を切る。だけどそれを見届けたせいで、私はもう一本の西洋剣に気付くのが遅れてしまった。
『サー!!』
「ッ!!」
ギリギリ防御が間に合ってバルディッシュの柄と西洋剣が正面衝突するが、西洋剣の威力が予想以上に大きく、バルディッシュのフレームにひびが入ってしまう。
「大丈夫、バルディッシュ!?」
『もう一本来ます、サー!』
「くっ……!?」
続けざまに迫る曲刀に向けてバルディッシュの切り上げを放つと、曲刀の軌道が上に大きく弾かれて霧散した。だけど……!
『すみません……サー』
謝罪の句と共にバルディッシュのフレームが砕けてしまう。途端に魔法のコントロールが難しくなってしまったが、さっきの連続攻撃はどうやら最後の悪あがきだったらしく、浄化も完了していた。地上に降りると、エクトプラズム越しにロキの姿を睨み付ける。
「ククク……私の浄化を果たしたのが、プロジェクトFATEの成功体、アリシア・テスタロッサのクローンとは……! これも因果か……!」
「私はクローンだけど、クローンじゃない。私はフェイト・テスタロッサ、あなたが散々利用した大魔導師プレシア・テスタロッサの娘だ!」
「おまえの中でそう決めていようが、全ての人間がそう見るとは限らん! プロジェクトFATEの成功例、人造魔導師、クローン、それらの意味でおまえを見る者の方が世界には多い!」
「そうかもしれない。でも……私を理解し、受け入れてくれる人もいる! 色んな人が受け入れられなくとも、私には友達がいる! 家族がいる! そして……私達家族を救ってくれた、大好きなお兄ちゃんがいる!! それだけで、私は未来に生き
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