浄化
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めんな……皆が静かに暮らせるようにサバタ兄ちゃんは四苦八苦してくれたけど……やっぱり私らは闇の書が負う過去の罪を償うつもりや」
「そうなのか?」
はやてに尋ね返すと、彼女を皮切りにネロやヴォルケンリッター達が口を開く。
「確かに私は皆が戦わなくて済む事を望んでいた。せやけど……」
「このまま静かな生活に浸るのは、過去の罪からの逃避となってしまうのだ……!」
「かつて我々のせいで被害や犠牲を被った人達に償っていくのは、主はやての騎士として生まれ変わるために我々が為すべき行為です……!」
「あたしらがさっさと決意しなかったせいで、兄ちゃんに余計な手間をかけさせちまったけど……今度こそあたしらは前を向いて生きていきたいんだ!」
「だからサバタさん、あなたがこの話を持ち出してくれたのは運命なのかもしれません。逃避の道だけで無く、贖罪の道をも示してくれた事は……!」
「兄様は……例え偶然であろうと、どこまでも私達に道を示してくれるのですね。いつか兄様に報いたいのですが、そのためにはまず、私達が壊してしまった一つの運命を救う……否、救いたいのです!」
各々の心情を聞いた俺は、俺の想像を上回る彼女達の心の強さに感服した。だからこそ、改めて決意を聞き届けておきたかった。
「おまえ達は……過去から逃げずに立ち向かう道を選ぶのか。後悔は無いんだな?」
『はい!』
「闇の書は次元世界にとって災厄とも言い表せる程の破壊をもたらしてきた。きっと全ての罪を償いきるのは困難を極めるだろう。それでも……選ぶんだな?」
『はいっ!!』
「そうか……おまえ達の覚悟、この俺がしかと聞き届けた! 過酷な現実、残酷な真実、慟哭の事実、様々な試練がこれからおまえ達を襲うだろう。有象無象が何を言おうと、心が折れる程の事が起きようと、おまえ達は一度たりとも屈してはならない! 決して、諦めてはならないのだ!」
『はいッ!!!!』
呪いから解き放たれた彼女達は、光の世界を渡り歩くために、過去のケジメを付ける生き方を選んだ。逃げる道を選ばなかった程強い心の力、それを確認した俺は……彼女達の持つ真の強さを認識した。おかげで俺が思うより話はとんとん拍子に進み、帰ってくる前にどう説得すべきか悩んでいた事が馬鹿馬鹿しく思えてきた。
「私達の最初の贖罪は、闇の書の先代主の娘であるマキナ・ソレノイドの命を救う事や! 私の騎士として生まれ変わった皆が助ける対象として、これ以上の人間はおらん! 皆、準備はええか!!?」
『応ッ!!』
凄まじいやる気を見せている所悪いが、手術が出来るのはシャマルだけだぞ……。口に出してツッコミを入れるのは野暮だから言わないが。
来た時と同様に月村家に戻る
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