浄化
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しないわよね?」
「さあな」
「さあなって………」
あまり自覚していないような言い方が少し癇に障ったらしく、エレンが俺を軽く睨む。彼女のターコイズブルーの瞳が一瞬だけ銀色に光ったと思うと、急に口元を抑えて息を呑んだ。
「ッ…………そういう事だったのね」
「今……何をしたんだ?」
「ただの検査魔法よ。けど……それでわかってしまった。あなたの身体はもう……」
「それ以上は言うな。気付かれた以上、今後おまえに隠すつもりは無いが……あいつらにはこの事を伝えていない。あいつらには俺の事を気にせずに過ごしてもらいたい。それに……これは俺が選んだ道だ、後悔は無い」
「………わかりました、私が何を言ってもあなたの覚悟は揺るがないのね。せっかく5年ぶりに再会できたのに、それが束の間の出来事だなんて……旧友としてとても悲しいわ」
「…………」
エレンが目を伏せて悲しそうな表情を浮かべた理由を、少し距離が開いて上手く聞き取れなかったフェイト達は意味がわからずにポカンとしているが、モニター越しでプレシアはおおよそ察してしまったようで、モニターの向こうで彼女は心中複雑な表情で俺を見ていた。
「サバタ……あなたが今どのような想いで戦い続けているのか、私では推し量る事は出来ないかと思う。でも……あなたを想う者がここにもいるって事は、絶対に忘れないで」
「フッ、何も今すぐ会えなくなる訳じゃないぞ? その時が来るまで、まだしばらく猶予はある。それまでは普段通りに接してくれ、その方が俺も気が楽だ」
「……そうね。じゃあ今は当初の目的を果たしていく事をお互いに専念しておくわ、その時が来るまでね……」
そう言ってエレンは辛い気持ちを抑え込んで、微笑んでくれた。そしてエレンはフェイト達に俺が一旦地球に戻る旨を伝え、マキナの頭を優しく撫でていた。
一方で俺はラプラスを再び起動させ、地球への次元間航行を開始した。地球にいるはやて達に事情を説明する時間も必要だが、マキナの手術の時間も考えると、あんまり長く話し過ぎる訳にはいかない。かと言って管理局が関係している事で敵意を抱かせてしまい、意固地になりにでもしたらそれこそ悪手だ。
ふぅ……ミッドチルダに来た当初の目的は、闇の書の存在を隠蔽して彼女達に安らかな生活を取り戻させる事だったのに、気付けば彼女達に協力を求めるしかない状況になっている。ままならないものだな、世界の流れとは……。
ちなみに“ムーンライト”はエレンが気を利かせて地上本部から回収してヘリに乗せていたため、今はラプラスに運び込んでいる。カーミラの贈り物であるこのバイクを置いていくのは、俺も避けたかったから彼女の配慮はつくづくありがたく思える。それとスニーキングスーツもラプラスの収納スペースに放り込んでい
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