馬刺し食べたい
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重力に引っ張られるがままに落下しながら考える
・・・馬刺し食べたい。
-----10分前-----
いつも通勤に使っている電車は8:00発の普通列車で、次の駅で快速に乗りえる多くの人が利用している。僕は人ごみを避けるため、電車の来る15分前に家を出て10分前には駅のホームの先頭に並んでいる。いつも通り、人はまだ多くない。
「 ・・・ 」
今日は初めてのイヤホンで音楽を聴きながらの通勤であり、昨日の3割増しでテンションが高い・・・と思う。もちろん周囲の皆様に気付かれないように平然を装ってはいるが。
-----5分前-----
ホームに人が増えてきた。通勤の時間帯。電車の出発直前に後ろを振り向くと、皆様の視線が僕のこめかみを貫通する予感がするので、基本前を向いている。
-----1分前-----
たくさんの視線が僕の後背筋に突き刺さる。 ・・・早く電車乗りたい。
-----3秒前-----
誰かが僕の背中を押した(物理的に)
そして今、僕は空を飛んでいます
地表2メートルから地面までの短いフライトですが、全く楽しくありません。駅のホームから線路に転落すると、電車に轢かれるというのは皆が知っています。そして怪我ではすまないというか、なんというか。普通の人は、自分が線路に落ちるとき何を考えているのでしょうか。きっと「電車が来るやばい」だと思います。しかし僕の脳内ではこのような処理が高速で行われました。
背中を押される ⇒ 「おっと」ってなる ⇒ 空を飛ぶ ⇒ 「これは落ちたら痛いやつだ」と察する ⇒ 電車がそこまで来ていることに気付く ⇒ 「誰が押したんだ」と疑問に思う ⇒ 体を捻ってホームを見る ⇒ ニヤついている20代女性を見つける ⇒ あ、美人さんだ ⇒ ・・・馬刺し食べたい
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そして本日2度目の7時50分。一回目と同じ場所に立ち音楽を聴く。時間が戻っても自分がさっきと同じ行動をとれば、結果は変わらない。そして再び訪れるその瞬間。僕は横に一歩ずれて、後ろから伸びてきた白くて細い両手を捕まえる。
「 人にするって事は、自分がされても文句言えないですよね? 」
「 ・・・・ッ!? 」
そしてその女性を線路に落とすふりをする。すると、なんということでしょう。女性が僕の体に抱きつくことで、落とされないように抵抗するではありませんか。いやいや、冗談ですよ、冗
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