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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十五話 覇者の矜持
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準備をするようにと指示を出した。部下が速足で艦橋に向かった。
ミッターマイヤー大将の先導で艦橋に向かう。会話は殆ど無い、少し空気が重いが艦内におかしなところは感じられない。兵達もこの状況に不満はもっていない様だ。後は馬鹿な跳ね上がりを注意するだけだろう。大丈夫だ、こちらは先頭がヴァレンシュタイン、オフレッサー、陛下、俺、そして同行した部下十人の順で続く。十人は選りすぐりの部下だ、滅多な事で遅れは取らない。
艦橋に入ると一人を除いて全員が臣下の礼を取った。エルウィン・ヨーゼフ二世が顔を上げるように命じ皆がそれに従う。
「ロイエンタール提督、ビッテンフェルト提督。これ以後は帝国軍人として陛下を支えていただきたい」
ヴァレンシュタインが声をかけると二人が軽く頭を下げた。
「それとお二人に、そしてケスラー提督達にお詫びします。戦いたくても戦えない状況にした。屈辱でしょう、しかしそうしなければこちらは勝てなかった。早期に内乱を終わらせる事は出来なかった。許していただきたい」
ヴァレンシュタインが深々と頭を下げた。皆が驚く、そしてヴァレンシュタインが頭を上げた。
「ローエングラム侯は陛下には従えませんか?」
ヴァレンシュタインの問いにローエングラム侯が口元を歪めた。
「折角の厚意だが、断る」
「侯!」
「閣下!」
「何を!」
ローエングラム侯の言葉にミッターマイヤー、ロイエンタール、ビッテンフェルトの声が上がった。艦橋がざわめいている。
「ローエングラム侯は予を信じぬのか?」
「……」
哀しげなエルウィン・ヨーゼフ二世の問いにローエングラム侯は無言だった。無礼と言えばこれ以上の無礼は有るまい。オフレッサーが“死ぬ気だな”と呟いた。同感だ、まあ想像出来ない事でも無かった。
「ローエングラム侯……」
「無駄ですよ、陛下」
「ヴァレンシュタイン……」
エルウィン・ヨーゼフ二世がヴァレンシュタインに視線を向けた。ヴァレンシュタインは皇帝を穏やかな表情で見ている。
「ローエングラム侯は陛下を信じていないのでは有りません。陛下の御寛恕を受ける意思が無いのです」
「……」
「何故ならローエングラム侯は覇者にして覇道を歩む者だから。覇者は頭を下げる事も跪く事も無い。寛恕など受け入れるわけがない。そうではありませんか、ローエングラム侯」
ローエングラム侯が微かに笑みを浮かべた。その通りだ、とでも言うように。覇者か、確かにそうかもしれない。ならば寛恕等受けるわけは無い。
エルウィン・ヨーゼフ二世が俺を、オフレッサーを見た。ヴァレンシュタインの言った事の意味を理解したとも思えない。だがローエングラム侯が自分に従わない事は分かったのだろう。縋る様な視線だが俺に出来る事は無い、唯一出来る事は視線を逸らさずに受け止め
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