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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十五話 覇者の矜持
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。エルウィン・ヨーゼフ二世は緊張している。
「それは分かるが……」
俺が渋るとエーリッヒが軽く笑い声を上げた。
「大丈夫だよ、アントン。彼らは停戦に応じた、皇帝の権威を認めたんだ。今更馬鹿な真似はしない。それよりも皇帝が自ら赴いて彼らを受け入れる、その事に意味が有る。ケスラー提督達も安心してこちらに戻ってくるだろう」
「なるほど、皇帝の権威か……」
敗北ではない、皇帝の権威に従う。帝国人なら当然の事だ。葛藤は少ないだろう。
「帝国には反乱軍という敵が有りイゼルローン要塞は反乱軍の手中に有る。帝国内でこれ以上争っているような余裕は無いんだ。帝国には彼らが必要だ、その事を忘れてはいけない」
もうエーリッヒは笑っていない。厳しい目でエルウィン・ヨーゼフ二世を見ている。皇帝が緊張しながら頷いた。
「分かった。準備をしよう。ブラウンシュバイク公達にも説明しておく」
「私はちょっと部屋に戻る。準備が出来たら教えてくれ」
帝国暦 489年 1月 21日 ヴァルハラ星域 帝国軍総旗艦 ブリュンヒルト ヘルマン・フォン・リューネブルク
ブリュンヒルトの艦内に入るとウォルフガング・ミッターマイヤー大将が数人の部下と共に出迎えてくれた。総司令部に詰めていたのだな。危なかった、もう少し後なら艦隊を率いていたかもしれない。互いに礼を交わすとヴァレンシュタインがミッターマイヤー大将に話しかけた。
「御身体の具合は宜しいのですか?」
「ええ、問題は有りません」
「そうですか、ナイトハルトから聞いていましたが御本人から聞くとやはり安心しますね、本当に良かった」
丁重な言葉だ。敗者に対する言葉ではない、尊敬する年長者に対する言葉だった。ミッターマイヤー大将が困ったような表情で“御心配をおかけしました”と言った。ヴァレンシュタインもちょっと困ったような表情をしている。お互い、妙な会話だと思ったのだろう。
ヴァレンシュタインが陛下にミッターマイヤー大将を紹介した。大将が臣下の礼をとるとエルウィン・ヨーゼフ二世が“予を信じてくれて嬉しい”と言った。ミッターマイヤー大将が更に一段頭を下げる。
「陛下の御寛恕を戴き心より御礼申し上げます。願わくばローエングラム侯にもその御寛恕を……」
「ミッターマイヤー大将、予は誰も責めぬ。予を信じよ」
「はっ」
ミッターマイヤー大将がチラッとヴァレンシュタインを、俺とオフレッサーを見た。なるほど、言質を取ったか。
「艦橋の様子を広域通信で流して頂きたいのですが」
「広域通信ですか」
「後々誤解が生じないようにしておきたいのです。映像を流した方が皆も安心するでしょう」
「なるほど。分かりました、そのようにしましょう」
ミッターマイヤー大将が頷くと部下に広域通信の
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