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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十五話 覇者の矜持
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しい眼で睨んでいる。厳しいな、だが正しい言葉だ。皇帝は人を纏めなければならない、そのためには敬意を持たれなければならない、そうでなければ皇帝の権威は地に落ちてしまう。フリードリヒ四世が弱い皇帝だったのも敬意を勝ち取れなかったからだ。彼が強い皇帝なら貴族達も増長しなかった、内乱も起きなかった……。エルウィン・ヨーゼフ二世が涙を拭った。

「これ以上争うのは止めるのだ」
「……」
「予は皆を信じている、戦うのは止めると信じている。だから皆も予を信じるのだ。誰も責めない、誰も罰しない。予はエルウィン・ヨーゼフ二世である、皇帝として約束する」
エーリッヒが皇帝の傍に寄った。

「聞いての通り陛下はこれ以上帝国の混乱を望んではおられない、死者の増大を望んではおられない。ローエングラム侯、ロイエンタール提督、ビッテンフェルト提督、陛下の御言葉を無にするような事はなされるな。内乱の終結こそが陛下の御意志である。艦隊の進撃を止められよ」
そして自らの艦隊、クレメンツ艦隊、ファーレンハイト艦隊にも進撃を止めるように命じた。

艦橋の空気が強張った、皆顔を引き攣らせている。射程内までそれほど距離は無い、向こうがエルウィン・ヨーゼフ二世の言葉を無視すれば急進してこちらに大きな損害を与えるだろう。クレメンツ艦隊、ファーレンハイト艦隊の進撃が止まったとオペレーターから報告が有った。如何する、ローエングラム侯、止まるのか? それとも……。
「敵艦隊、進撃を止めました!」

オペレーターの声が上がると彼方此方から安堵と歓声が上がった。皆がチラチラとエルウィン・ヨーゼフ二世を好意的な表情で見ている。皇帝として認められたと言えるのだろうか、まあ第一歩では有るな。
「良くやったな」
エーリッヒが声をかけるとエルウィン・ヨーゼフ二世が泣き出しそうな表情で頷いた。

「戦闘は防げたがまだ内乱は終結したとはいえない、もう一仕事有ります。陛下には皇帝としてこの内乱の結末を見届けて貰わなければなりません」
エルウィン・ヨーゼフ二世が頷いた。“陛下”か、エーリッヒも敬意を表しているのかな、ちょっと可笑しかった。

「アントン、私と陛下、それにオフレッサー閣下とリューネブルク中将はブリュンヒルトへ行く。ローエングラム侯に伝えてくれ。それとロイエンタール提督、ビッテンフェルト提督にもブリュンヒルトへ集まるようにと」
皆が驚いた、顔を見合わせている。

「大丈夫か? こっちに呼んだ方が良いんじゃないか?」
彼らが心変わりをすれば危険だ。だがエーリッヒは首を横に振った。
「これから帝国は一つになる。そのためには彼らを露骨に敗者として扱うのは得策じゃない。我々に敗れたのではなく陛下に従った、そういう形を取らなければ……」
皆の視線がエルウィン・ヨーゼフ二世に向いた
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