3部分:第三章
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それだけが。
「私は救われます。呪われた魔物としての私が消え去り」
「そして」
「人として。去ることができるのですから」
「そうなのですか」
「はい。それでは」
また話した。その言葉を出し終えるとその身体が次第に薄くなりだしていた。まるで蜃気楼の様に。少しずつ消えようとしていた。
消えながらも彼に対して話すのだった。そのことを心から喜んでいる顔で。
「さようなら。永遠に」
「ええ、これで」
「人として。消えます」
こう告げて姿を消してしまった。後に残ったのは泉と木々、夜の世界と黄金色の優しい光を放つ月。それと彼女が残した最後の香りだけであった。
ホメロスはラミアのことを終生に渡って歌い続けた。これによりラミアの悲しい呪いとその救いのことが知られることになった。このホメロスがあの伝説の詩人であったかどうかはわからない。しかし彼がラミアのことを歌ったのは事実である。彼女が救われたことを広く世に知らせ歌として残したことは。紛れもない事実である。
ラミア 完
2008・3・2
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