暁 〜小説投稿サイト〜
ワールド・エゴ 〜世界を創りし者〜
parallel world6−『廻り出す歯車』−
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り着く事は無かった。

「がぁ……あ"あ"あ"ぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁ??」

 頭を掻き毟り、強引に右腕を振るう。

 月の大地が抉れ、その先の幾つかの星が消し飛んだ。

 叫ぶ。
 それに伴うように、周囲が破壊に満ち溢れる。

 この手が誰かに届く事は無い。

 ならば……ならばせめて、反逆しよう。

【主世界】の決定なんて知った事では無い。
 何も出来ない自分を変えるのだ。

 世界を消させたりしない。

 《妹》の愛したこの世界を、終わらせはしない。


 もう、《依り代》の完成は近い。

 整えなくては。

 《彼ら》が《依り代》に対抗し得る力を得る為の準備を。



「……随分、苦しそうだね。ルーク」

「……ああ、《主》か。久々だね」

 気が付けば、目の前に一人の《神》が佇んでいる。

「手伝ってくれてありがとう。感謝しているよ」

「礼を言うほどの事では無いよ。結果的には自分の為なんだから」

 《主》は屈託の無い笑顔で笑い、ルークの隣に腰掛けた。
 腰掛けた《主》は、ルークにも座るよう促すと、一つ、ルークに問い掛けた。

「……ルーク、君は、強い力を持ってしまった事を、後悔しているのかい?」

「−−」

「僕も時折思う。強すぎる力を持ってしまった故に、他者との繋がりが分からなくなるんだ」

「−−」

「孤独が、酷く怖くなる。独りぼっちが、哀しくなる。」

「−−」

「君は__どうだい?【主世界】に選ばれ、力を得た自分が、憎いかい?」

 《主》は問い掛けた。ルークは黙り込み、唇を噛むと、やっと答えた。

「−−−−ああ、憎いよ」

「……そうか」

 それが分かったところで、《主》は何もしてやれない。
 《主》とて、【主世界】には逆らえない。殺してやる事すら出来ない。
 それ程までに、ルークの得た力は強大過ぎるのだ。

 《主》は、苦しみから解放される事の無い親友を見つめ、憐れみ、そして同情した。

 意味の無い事だと分かっていても、そうせずには居られなかった。

「……そろそろ、時間だ」

 ルークが不意に立ち上がる。

 もう、《主》の親友である(1番目)の役目は終わった。

 始まるのだ。

 戦争が。


「……《主》」

「……なんだい?」

「−−世界を、任せた」

「−−任された。じゃあ、少しだけお別れだ」

「ああ、お別れだ。ありがとう」

「こちらこそ」

 簡潔に、但し、意思を伝えきったルークは、そのまま虚空へと消えた。

 さあ、ここからが忙しくなる。

 状況は一気に動く。こちらも行動しなくては
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