parallel world6−『廻り出す歯車』−
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
り着く事は無かった。
「がぁ……あ"あ"あ"ぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁ??」
頭を掻き毟り、強引に右腕を振るう。
月の大地が抉れ、その先の幾つかの星が消し飛んだ。
叫ぶ。
それに伴うように、周囲が破壊に満ち溢れる。
この手が誰かに届く事は無い。
ならば……ならばせめて、反逆しよう。
【主世界】の決定なんて知った事では無い。
何も出来ない自分を変えるのだ。
世界を消させたりしない。
《妹》の愛したこの世界を、終わらせはしない。
もう、《依り代》の完成は近い。
整えなくては。
《彼ら》が《依り代》に対抗し得る力を得る為の準備を。
「……随分、苦しそうだね。ルーク」
「……ああ、《主》か。久々だね」
気が付けば、目の前に一人の《神》が佇んでいる。
「手伝ってくれてありがとう。感謝しているよ」
「礼を言うほどの事では無いよ。結果的には自分の為なんだから」
《主》は屈託の無い笑顔で笑い、ルークの隣に腰掛けた。
腰掛けた《主》は、ルークにも座るよう促すと、一つ、ルークに問い掛けた。
「……ルーク、君は、強い力を持ってしまった事を、後悔しているのかい?」
「−−」
「僕も時折思う。強すぎる力を持ってしまった故に、他者との繋がりが分からなくなるんだ」
「−−」
「孤独が、酷く怖くなる。独りぼっちが、哀しくなる。」
「−−」
「君は__どうだい?【主世界】に選ばれ、力を得た自分が、憎いかい?」
《主》は問い掛けた。ルークは黙り込み、唇を噛むと、やっと答えた。
「−−−−ああ、憎いよ」
「……そうか」
それが分かったところで、《主》は何もしてやれない。
《主》とて、【主世界】には逆らえない。殺してやる事すら出来ない。
それ程までに、ルークの得た力は強大過ぎるのだ。
《主》は、苦しみから解放される事の無い親友を見つめ、憐れみ、そして同情した。
意味の無い事だと分かっていても、そうせずには居られなかった。
「……そろそろ、時間だ」
ルークが不意に立ち上がる。
もう、《主》の親友である彼の役目は終わった。
始まるのだ。
戦争が。
「……《主》」
「……なんだい?」
「−−世界を、任せた」
「−−任された。じゃあ、少しだけお別れだ」
「ああ、お別れだ。ありがとう」
「こちらこそ」
簡潔に、但し、意思を伝えきったルークは、そのまま虚空へと消えた。
さあ、ここからが忙しくなる。
状況は一気に動く。こちらも行動しなくては
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ