都外のアニメフェス No.3
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「ほらどうだ!人質だぞ!…そっから動くなよ!」
「……腹立つ野郎だな…。」
犯人の言うとおりに固まるが、決して焦りの表情はなかった。すると、計算したかのように警備員の男が一人、勇敢に犯人の背後を仕掛ける。人質の女性が離れた。
「陽一さん!今です!」
「てめぇ!…裏切…った…な…?」
気づいた時には、目の前に豪快な飛び膝蹴りの膝があった。またしても顔にめり込み、男は気を失った。救出劇に歓声まであがり始めた。頼り無さそうな警備員の一人を巻き込んで正解だった。
「助かったぜ。これでお前は無罪だな。」
「…警備員全員が、近藤千夏を誘拐するグルなんて、聞いて寒気がしましたよ…。」
「踏み外さねぇで、立派だ。よし、ここの全員を避難させてくれ。」
一旦ここで別行動をさせ、陽一は警備員室へ急いだ。同時に逞しくなった青年警備員の声で一斉に避難を始める。
「はぁ…はぁ…!これは一体…?!」
「近藤千夏さんだよね?…あなた誘拐される所だったの。」
薄暗い会場の通路を駆けていく二人。これほどの規模の計画は予想外であったが、なんとか救出は出来た。
「ホント、可笑しなブームになっちゃったからさ、声優も大変でしょ?」
すると、千夏は美咲の手を振り解き、走りを止めた。美咲も戸惑う。
「もう…誘拐されるなら、されてもいいです!」
「え…?ちょっと、千夏さん?」
「こんなことになったのも自分のせいなんです!!」
再び手を引こうとするが、意味深な言葉に止まってしまう。追っ手が来ていないか焦るが、事情を聞いてみた。すると持病ときつい逃走のせいで、千夏は激しい咳が。
「…自分が、あんな混乱を招いたんです。」
「ネットで見た…。降板したんでしょ?」
「人気を落としたのも…自分の責任です。…声優辞めさせるなり、誘拐されるなり、もう何でもいい。」
精神的な問題か、ゆっくりと話を聞くことにした。目に付かない所まで千夏を運ぶ。陽一も無事に追いついて来た。
「美咲!大丈夫か?!」
「こっちは大丈夫!陽一、こっち来て!」
「…私、声しかないんです。」
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