おまけ6話『変化する瞬間』
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たかもしれないことを考えると脅威に値するだろう。
ルフィよりも体力があるはずのハントが一度やられただけで気を失っていたことを考えればそのルフィの底力には恐れ入るというものだ。
だが、さすがにルフィもやはり限界は存在する。
「はぁ……はぁ!」
息を切らし、力が抜けてしまった膝からはもう反応がないらしく、のろのろと動こうしている。
そして、それを見逃す赤犬ではなかった。
地面に転がるエースを見下ろし、赤犬の視線がルフィへと移る。
「海賊王G・ロジャー、革命家ドラゴン! この二人の息子たちが義兄弟とは恐れ入ったわい……貴様らの血はすでに大罪だ! 誰を取り逃がそうが貴様ら兄弟だけは絶対に逃がさん!……よう見ちょれ」
そして、エースもまたその視線に気づいた。
「おい待て! ……ルフィ!」
エースの制止もなんのその。
ルフィが「!」と気づいた時はもう遅い。赤犬がマグマの拳をルフィへと振りおろしていた。
もう、それは防ぎようがなかった。
ジンベエですら反応のできないタイミング。
当然ろくに力の入らないルフィも今更気づいたところで動くことすらできない。
それはつまり絶対のタイミング。
それはつまり、ルフィの死――
――いや……いや。
そこに割り込む一陣の影。
ルフィ、ジンベエを除いてもっとも近くの距離にいて、そして赤犬の動きに気づけた人間。
そう、エースだ。
己が能力では赤犬のマグマの拳は防げないことはもうエースも把握している。きっとルフィごと貫かれてしまうであろうことも容易に見て取れる。
だからこそ、エースのとるべき行動はただ一つだった。
きっとエースにとってそれはほとんど反射的行動に近かっただろう。
ルフィに迫るマグマの拳。
ルフィとそのこぶしの間に、エースが体をすべり込ませていた。エースが武装色を発動する間もなかったであろう。それほどに重く、鋭い赤犬の一撃だ。
それがエースの無防備な腹をつらぬく――
「むっ!?」
「……ん?」
赤犬から戸惑いの声が。そして、死を覚悟してまで身を投げうったエースからも同じく戸惑いの声が漏れていた。
それもそのはず。
エースの腹に突き刺さるはずだった拳が、その腹に突き刺さっていないのだから。
「なんじゃぁ……!?」
戸惑いと焦りと、そして何よりも警戒を。
自分の拳が意思に反して空中で止まっている。誰かにまるで受け止められたかのような、そんな感触だ。
当然、赤犬にしてみれば意味がわからない。そして、ありえないことだ。ほとんど反射的に後退して周囲を見回す赤犬。もちろん、もっとも疑わしいのは海賊側でもっとも脅威であろう白ひげ。
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