おまけ6話『変化する瞬間』
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「おいよせエース! 立ち止まるな!」
「エース!」
白ひげ一味の全員の声がこだまする。ルフィも急に立ち止ったエースに慌てた声を出す。
何せ海軍の狙いそのものなのだ、こんなところで立ち止っていては標的にされてしまう。
それでも、やはりエースは止まらない。
「……あいつオヤジを馬鹿にしやがった」
「お前の本当の父親ロジャーに阻まれ『王』になれずじまいの永遠の敗北者が白ひげじゃァ……どこに間違いがある! オヤジオヤジとごろつきどもに慕われて……家族まがいの茶番劇で海にのさばり――」
「――やめろ!」
聞いていられない。
これは父親に対する侮辱。
それでも、やはり赤犬も止まらない。
「何十年もの間海に君臨するも『王』になれず何も得ず……しまいにゃあ口車に乗った息子という名のバカに刺され……それらを守るために死ぬ! 実に空虚な人生じゃありゃあせんか?」
「やめろ!」
父親を侮辱する言葉に耐え切れず、徐々にヒートアップしていくエースに「のるなエース! 戻れ!」という一味の仲間たちの言葉が虚しく空に流れていく。
「オヤジは俺たちに生き場所をくれたんだ! お前にオヤジの偉大さの何が分かる!」
「人間は正しくなけりゃあ生きる価値なし! お前ら海賊に生き場所はいらん! 白ひげは敗北者として死ぬ! ゴミ山の大将にゃああつらえ向きじゃろうが!」
「白ひげはこの時代を作った大海賊だ! この時代の名が! 白ヒゲだぁ!」
ついに、エースの我慢が限界を切った。
火の拳を赤犬へと振りかぶる。当然だが、赤犬もそれをわざわざ受けてやるわけがない。
自然系の二人の拳がぶつかり合った。
ハントが気を失っている間のことだが、エースはすでに青雉と同等の力を見せている。この赤犬とのぶつかり合いもそうなるかと思われた、だが――
「うわぁあ!」
――結果はエースの敗北。
火がマグマに焼かれてしまった。
お互いの実力差云々ではない。これは悪魔の実の上下関係。いうなれば赤犬はエースにとって最悪の相性の相手。
自分が焼かれるという、エースにとっては随分と味わうことのなかった感覚に思わず地面を転がる。
それを見ていたルフィがまたエースに対して心配そうな声をあげる……のだが「エー……ス……! ……う」と急に膝をついた。
「おうルフィ君! お前さんもう限界じゃ!」
ジンベエの言葉どおり、ルフィは既に限界を迎えていた。
そもそもインペルダウンからぶっ通しで無茶をしてきていて、限界を超えている状態だった。いつ体に力が入らなくなっても不思議ではないほどに疲労はたまっているはずだ。
むしろここまでエースを救出して、あと一歩でこの場所から逃げ出すことにも成功してい
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