おまけ6話『変化する瞬間』
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……エースは助けれたのか? にしては師匠の声がなんか辛そうだったような?
「今から伝えるのは……最期の船長命令だ! よぉく聞け……白ヒゲ海賊団!」
「最期ってちょっと待てよオヤジ! 縁起でもねぇ!」
「そんなもん聞きたくねぇよぉ!」
「一緒に新世界に帰るんだろ!?」
「オヤジ!」
――エースの声だ……ほんとに助けることができたみたいだな。うーん、さすが。
ルフィ、ジンベエ、白ヒゲ海賊団のメンツをハントは思い浮かべて、苦笑。が、その次の瞬間、飛び込んできた言葉にハントの顔が凍り付いた。
「お前らとおれはここで別れる! 全員! 必ず生きて! 無事新世界へ帰還しろ!」
「お……オヤジィ! ここで死ぬ気か!?」
「おれぁ時代の残党だ! 新時代におれの乗り込む船はねぇ! いけぇ野郎どもぉ!」
白ヒゲの声とともに地響きのような音がハントの耳にも響きわたる。
戦場とは場違いなほどに澄んだ青空をただ見上げているハントにでもその音の正体が白ヒゲの能力によるものだろうということは簡単にわかった。
体を戦場の風が吹き抜ける。それだけで赤犬に焼かれた体が悲鳴をあげている。吐き出す息がまるで口内を焼いているかのようにすらハントに感じられるのは体内までも焼かれたせいだろう。
――死ぬ気? 白ひげさんが?
気を失っていたハントには状況がわからない。
「……」
だが、もうハントは知っている……いや、わかっている。
状況なんかどうだっていいということを。
周囲の状況なんかを気にする必要などないということを。
「……まったく」
あきれたような溜息を吐き出し、体にゆっくりと力を込める。
もう、それだけで十分だった。
「ふざけてやがるなぁ」
吐き出された言葉は小さく、力強く、そして重く。
ただ、それが今のハントを占める全てだった。
ハントが目を覚ました今、当然だがそれで何か状況が変わるなどというはずもない。
相変わらず、ここには信念と死のぶつかりあう戦場が広がっている。
エースは当然として、今回の戦場で頭角を現したルフィまでをも逃がすまいとして必死になる海軍と、命をもなげうつ覚悟で殿をつとめる白ひげの命令により撤退を始める白ヒゲ海賊団。
両者の立場が入れ替わったかのような決死戦。
白ヒゲ海賊団として、エースもまた白ひげに礼を言って逃げようとしていたのだが、赤犬の言葉によりその動きを制止させていた。
「取り消せよ……今の言葉!」
エースが立ち止まったのは赤犬による『敗北者』という言葉。白ヒゲはエースにとっての父親だ。もともと気性の荒いエースがそんな父親を侮辱するような言葉を受けて立ち止まらないはずがなかった。
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