おまけ6話『変化する瞬間』
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ナミの言葉を思い出したことはきっと当然のことだったんだ。
「……」
もちろん声が出ない。
体の感覚も、やっぱりない
けど、笑いそうになった。
俺が弱いのは当然のことだった。
俺が勝てないのは当然のことだった。
『私が保証する。あんたは強い。絶対に強い!』
ナミの言葉が、また俺の脳内に浮かんだ。
そう、そうだ。
わかった。
全て。
思い出す。
まるで数珠繋ぎになっているかのように、全ての記憶が連鎖されて脳内を、いや、体中を駆け巡っていく。
白ヒゲさんも、エースも、師匠も、ルフィも、ゾロも、サンジも、きっとビビだって。
俺にはない強さを持った人たちが持っていて、俺が決して持ちえなかったそれ。
答えはたったの一つ。
本当にシンプルで、当たり前な答え。
――そう、それでいいんだ!
感じる声が強くなった。
駆け巡る記憶が、感じる声が、はじき出した答えが、体中を駆け巡っていく。
「……ハ……ハ」
声が出た。
きっと、かすかな声。誰の耳にも届かないような、そんな小さな声だ。
けど、確かに今の俺は笑っている。
――もう、わかるだろ? 今感じているものが何か。
感じる声の正体?
「……ハハ」
あぁ、わかる。
理由は簡単で、理屈は必要ない。
体中に力が駆け巡る。
限界なんて存在しない。
「……そうだな、当たり前だった」
いつの間にか視界が開けていた。
あぁ、空が青い。
空気がおいしい。
――さぁ、答えてみろよ!
うん、ありがとうな。
いつも俺と一緒にいてくれて。
心のままに、俺はそっと声をかける。
「俺は強い……そうだよな。そうなんだよな? お前も、お前らもそう思うだろう?」
――……!!
強い、本当に力強い答えが返ってきた。
きっと当然に、体の感覚がいつの間にか蘇っていた。
「ここでの目的は果たした……もうおれ達はこの場所に用はねぇ!」
「おやじさん」
「……?」
自分が生きていることに対する疑問。
気を失ってどれくらいの時間がたったかという疑問。
今の状況がどうなっているのか、という疑問。
自分が寝転んでいる場所はどうやらどこかの船に上にいるらしいが、それはなぜだろうという疑問。
ありとあらゆる疑問があっさりと吹き飛ぶくらいに、たった今目が覚めたハントの耳に飛び込んできた言葉は衝撃的なものだった。だが、あらゆる疑問を吹き飛ばした衝撃的な言葉は、まだ寝転がって動けないでいるハントの脳内に新たな疑問を次々と呼び起こしていく。
――白ひげさんの声? 目的を果たしたって
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