暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
おまけ5話『助けるっ!』
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 敵も味方も入り乱れている混沌の地。

「ん〜?」
「やらせねぇよい!」

 黄猿を白ヒゲ1番隊隊長のマルコが抑え込み

「ああ?」
「っ!」

 青雉と3番隊隊長のジョズが相対した。
 そんな周囲のせめぎあいすらもハントの視界には映らず、ただひたすらにハントは腕に力を込めて叫んだ。

「魚人空手陸式……奥義っ!」
「ふん!」

 ハントが脚力を一気に爆発させ、つい先ほどまでとはまた一線を画す速度でもって赤い犬の懐へと潜り込む。それを察知していた赤犬もそれに焦りを覚えることなくマグマの拳をハントへと振りかぶり、そして。

楓頼棒(ふうらいぼう)!」
犬噛紅蓮(いぬがみぐれん)!」

 ハントの掌が赤犬へと到達する直前、赤犬の腕から放たれた犬の型をしたマグマの奔流がハントの技ごと体をすべて呑みこみ、焼き尽くした。

「あ゛……ぁ゛……ぐ……っ゛」

 体を覆う痛み。

 最早、技を放つとかそういった次元ではない。
 マグマが体を焼き尽くし、体内にまで熱を浸透させる。
 常人ならばその一瞬で重度の火傷により死を迎え、手練れの男でもその痛みから狂死させるほどのそれに直撃してしまったハントは――

「……う゛う゛……る゛……や゛だ……だ……ぞ……ん゛でだ」

 声にならない声を漏らし――

「……」

 最後には声を失い、体の力を失い、地面へと倒れ始めた。

「は、ハント!」
「ハントーーーー!」

 ハントにはもう、それが誰の声かすら判別できない。

 ――あぁ、俺はまた……また……負けたのか?

 今にも地に倒れこもうとするハント。
 そんな彼の閉ざされた目からこぼれ落ちようとするそれは、マグマの熱によって一瞬で蒸発する。

 ――ち、くっ……しょうっ!

 それすらも、声にならなかった。


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