おまけ5話『助けるっ!』
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わずかに気を遠のかせてしまったモリア。
その隙に、ハントはさらに拳を振り下ろす。
「5千枚瓦正拳っ!」
全力で、武装色によって固めている拳をモリアの顔面へと振り下ろした。
ハントの一撃を受けたモリアは、もはや声すらも漏らさない。
そして、衝撃の爆発。
「ぐ……がっ!?」
体を数度、痙攣させてそのままモリアの動きが止まる。
「……ふぅ」
動かないモリアと、動かなくなったゾンビ兵。
そう長くない時間のうちにモリアは目覚めるだろうし、まだ完全に戦闘不能……とまではいかないかもしれないが、今はこれで十分。そう判断したハントは、エースを救出するためにもまた前を向く。
「麦わらを討ちとれ!」
「奴が脱獄囚の主犯だ!」
「海坊主がゲッコー・モリアを破ったぞ! 奴も麦わら一味! 十二分に危険な存在だ! 討ち取れーーー!」
ルフィだけでなく、ハント自身へと向けられる戦力が着々と増えつつある状況で、ルフィの背中はまたハントの視界には映らなくなり、あまりの混戦にぶりにルフィの位置も見聞色でも把握できない。
「……はぁ……はぁ……全員、ぶっとばせばいいだけだ!」
ハントが迫りくる海兵たちを睨み付けて、気合を入れなおした――
――その時だった。
「来るな! ルフィ〜〜〜〜!」
「え」
「は?」
突如として叫ばれた処刑台からのエースの声に、ルフィだけでなくハントの動きも僅かに止まった。とはいえ、ここは戦場だ。それぞれの敵たちとの戦いを止めるわけにはいかない。戦いつつ、だがやはり二人の意識のほとんどはエースの言葉へと向けられる。
「わかってるはずだぞ! 俺もお前も海賊なんだ! 思うままの海へ進んだはずだ! おれにはおれの冒険がある! おれにはおれの仲間がいる! おまえに、おまえらに立ち入られる筋合いはねぇ! ルフィ、お前みてぇな弱虫が! 俺を助けに来るなんてそれを俺が許すとでも思ってんのか!? こんな屈辱はねぇ! 帰れよお前! さっさとハントを連れて帰れ! なぜ来たんだ!」
エースの叫び。それはルフィにだけ向けられているようで、ハントにも向けられている言葉。そこに込められたエースの想いはいったいどれほどのものなのか。
弟や友人までもが自分のために危ない橋を渡ろうとしているという自分の情けなさ、無力感。どうにか二人には無事にそれぞれの人生を歩んでほしいという彼の願い。彼自身にすら理解の難しい様々な感覚が体中をうずまき、力なく体を震わせている。
エースをよく知る人間は、そんな彼の重い感情を察して動きを止めるのだが、言葉を向けられた当の本人……いや、当の本人たちは相変わらず無茶と思えるほどにまっすぐに処刑台を目指して進み続けており『来るな』と言
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