おまけ4話『いざ戦争』
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みんなを救った。
自分よりも強い人間は山ほどいる。けど、そんじょそこらの人間には負けない自信がある。
ココヤシ村のみんなを救うために手に入れた力は、今では大切なみんなと一緒にいるためにある力となってハントを突き動かしている。それなのに、今この艦にボンクレーがいない。その事実が、ハントの顔を暗くさせていた。
「……」
今は閉ざされた正義の門を見上げて、そこから空へと視線を移行。
目を閉じて、顔を落として、全身に力を込めて、まるでそこから飛び出さんばかりに体に縮こまらせて……だが、そこで弱々しく開かれた目を海へと向けて、首を横に振る。
――違うか……うん、違うな。
何を想い、何を考えたのか。
自分の心を否定するハントの視線に宿るソレには一瞬前まで存在していた弱々しさが消えていた。
「今、助けるのはエースだ」
自分に言い聞かせるように吐き出した言葉。それに、ハントは何度も頷く。
――次はもう失くさない……だから、ボンちゃん。
また空へと視線を向ける。
――俺は謝らない。
「……ありがとうな、絶対にエースは助ける」
自分の体を抱くようにして「っくそ」とハントは吐き捨てる。
――それなのに……消えない、未だにっ。
今は何よりもエースの救出に全力を注がなければならない、集中しなければならない。それなのに、ずっと付きまとっている違和感が消えない。それどころかその違和感は膨らんでいる。
その正体が、ハントにはわからない。
体を動かそうが、魚人空手陸式を撃とうが……別に、何も変わらない。それなのにずっとハントを違和感が襲っている。時折、それが消えることもある。けれど、フとした時にまた復活して、ハントの意識をその違和感がつつき始める。
「考えてる場合じゃない……集中だ……集中しろ……今は、エースの命が危ないんだ」
何度も深呼吸を繰り返し、何かにこらえるように歯を食いしばる。だが、そこでフッと息を漏らして体の力を抜いて笑顔に……かと思えば突如として、体の向きを変えた。
「どうしたんだ? ルフィ?」
笑顔のハントが振り向いた先にはルフィが。珍しくルフィが驚いた表情をしていることから、もしかしたら後ろから急に声をかけてハントを驚かそうとしていたのかもしれない。ルフィは「ああ、ハントがどこにもいねぇからよ」と少しだけバツが悪そうに頬を掻きながらそっぽを向いて答える。
そんなルフィの態度に、ハントが少しだけ楽しそうに「何か用か?」
「あ、ああ」
ルフィが言いづらそうに口ごもり、その態度で普段はニブいハントもピンと来た。何に対しても歯に衣着せぬ物言いをするルフィが言いにくそうにしている時点で、お察しといえばその通り
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