おまけ3話『脱獄』
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ていた。
「――闇水」
黒ひげが手をかざしただけで、まるでルフィがそれに吸い込まれていくように引き寄せられた。
――能力者か!?
いや、けど関係ない。
能力者だろうが、能力者じゃなかろうが。どうせ関係ない。
「……え」
いつの間にか黒ひげの手に収まっていたルフィが驚きからか、声を漏らして、黒ひげがそのままルフィを地面に――
「――っさせるかよ」
横合いから俺が黒ひげを殴り飛ばした。
黒ひげの手からこぼれ落ちるルフィを受け止めつつ、俺に殴られたことでまた壁に激突した黒ひげをジッと見つめる。
「ちくしょう! ハントか!」
相変わらず痛がっている声が聞こえるけど、多分大したダメージになっていない。殴った感触がなんだかちょっと違っていたから、またルフィの時みたいに追撃しようとしたらいきなり態勢を整えて反撃してくると思う。今は別に本気でこいつと戦っている場合じゃないからもう追撃しようとは思わないけど、これだけは言わせてもらおう。
「ティー……黒ひげ。お前らはわかってない。エースは結果的にルフィを守ったって……お前は言ったよな?」
「……そうだ」
「違うな、結果的にエースが守ったのはルフィじゃない、お前たちだ」
「あん?」
「ルフィの側には俺がいる……よかったな黒ひげ。エースに守ってもらえて」
黒ひげがエースに勝ったとかどうだっていい。
エースが俺よりも強いとか、それもどうだっていい。
こいつには絶対負けない。
「……」
「……」
黒ひげと視線がぶつかり合う。徐々に険しくなる黒ひげの視線に、もしかしたら本気で戦おうとしているのかもしれないことに気付いた。向かってくるなら返り討ちにしてやる。本当はエースが無念を晴らしたいだろうけど、こっちを襲ってくる相手にまで遠慮してやれるほど俺はデキた人間じゃない。
と思ったら先にルフィが動いていた。
「邪魔すんなハント! こいつは俺が! ゴムゴムの――」
「――待てルフィ君! もうよせ! 今はいかん! 耐えろ! 何が先だ! よう考えるんじゃ!」
ルフィを黒ひげが迎え撃とうとしたところで、先に師匠が割って入っていた。
「っ」
師匠の言う通りだ。
エース優先だと、たった今考えたはずなのに黒ひげの挑発でそれを忘れるところだった。
「時間も体力もここで無駄にするな! 感情に任せて今戦ってもエースさんの救出にはつながらん!」
その言葉で、ルフィも戦う気をどうにかこらえた。元々黒ひげ側もこっちが突っかからなければ戦う気はなかったらしく、同様に戦闘態勢を解く。起こりかけた戦いをうまいこと収めたのは流石に師匠と言ったところだ。師匠がいなかったら止められなかった気がする……
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