おまけ2話『師弟』
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エースが処刑されるということを知ってからいったい何日が経ったのかわからない。少なくとも1週間はたった気がする……いや、経ってないかもしれないけど。
ここはずっと明るさが変わらないから体内時計がもう完全に狂ってる。出される食事の時間もけっこうバラバラっぽいから、なおのことで、そのせいで今がどれぐらいたったのか全く分からない。流石に一か月は立っていないはずだけど。それぐらいにしかもう俺にはわかっていない。
だからこそ尚のこと思う。エースはまだ無事なのだろうか。
一刻も早く脱獄をして、エースの処刑を止めるために来るだろう白ヒゲさんのところに駆けつけたい。俺はよそ者だけど流石にエースの命がかかってる状況なんだから、それぐらいは手伝わせてもらえるはずだ。
多分時間はあまり残されていないというのに、それなのに脱獄をできそうにない。エースの処刑を止める力になれそうにない。
苛立ちが収まらなくて、感情のままに格子を全力で蹴り飛ばす。
「っ」
全くだめ、びくともしない。
後ろで同じ檻に捕まっている3人が体を縮こませているのを感じる。怖がらせて悪いとは思うけど、別に危害を与えるつもりはないからそのあたりは勘弁してほしい。
苛立ちの原因は、もちろん今この時にただ捕まっている自分の無力さのせいだけど、もう一つある。
それが、ずっと体にある違和感。
さっきの蹴りの時もそう。
まるで俺の苛立ちにそれが関係しているんじゃないだろうかって思えるぐらいに、ここに来て魚人空手陸式に体の感覚がどんどんとずれてきている。発動自体は問題ない。威力にも問題ない。だからこそ余計にわからない。
凍ったパンを食べている時も、トレーニングをしている時も、軽く眠ろうとする時も……ずっとだ。
「くそ」
だめだ、少し寝よう。
きっとこの苛立ちは最近寝不足のせいだ。そのせいでイライラしやすくなっているに違いない。
そう思わないとやってられない。
檻の奥の方へと体を寄せる。まるで俺を化け物とでも思っているかのように俺から逃げるように3人が動く。この3人はもう俺が蹴り飛ばした初日からずっとこんな感じで全く会話もしていない……俺に服を奪われるとかを警戒しているんだろうか。
とはいえ、俺もいつこいつらに服を奪われるかわからないからあまり深くは眠らない。まぁ、そもそもこの凍えそうな空気の中で熟睡する勇気もないけど。眠ったまま凍死とか嫌すぎるし。
少しだけ風が弱くなった檻の奥で軽く目を閉じる。
目が覚めたらどうか少しだけでもこの苛立ちが収まっているといいと思いながら、意識がすぐに薄くなっていった。
ハントが薄く眠りについたその時。ハントが杞憂していた通り、エースへの処刑
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