おまけ2話『師弟』
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ント」
「なんでいきなりお前にバカ呼ばわりだよ、エース!」
「さっきジンベエが言ったろうが。『お前への償い』だ。お前という弟子をずっと苦しめていたのが自分だってわかったんだ、そりゃこういうことになるだろ」
「本当にスマン……エースさん、ハント」
声が涙ぐんでいる。
今にも泣きそうにすら見えるジンベエ。そんな彼を拘束する鎖がマゼランの側に控えていた職員により解かれようとしている。そんな光景を、ハントは理解が追い付かずにぼんやりと眺めていた。
――……ん? えっと?
目の前の光景がただただハントには理解が追い付かない。
ハントは知ってる。
師匠ジンベエがどれだけ白ひげという人間に恩義を感じているかを。
ハントは知っている。
師匠ジンベエがどれだけその恩義に反する行為を嫌っているかを。
ハントは知っているのだ。
師匠ジンベエが白ヒゲという人間のためならば自分の命すら惜しまないことを。
だから今、ジンベエはインペルダウンに閉じ込められた。
それなのに、そのジンベエが白ヒゲを裏切ろうとしている。エースの処刑に加担しようとしている。
ありえない。
いくら鈍いハントでもそんなありえない行為をジンベエにさせた原因は理解できた。
――……俺のせい、か?
そう、原因はハント。
ジンベエの唯一の弟子であるハントだ。
弟子である自分が、師匠の重荷になっている。それを思った時、ハントはいつの間にか言葉を吐きだしていた。
「師匠はそれで……いいんですか」
「……本当にスマンかった」
だが、返ってきた言葉はそれに対するものではなく、謝罪。よほどジンベエも今の決断に耐えがたいものがあるのだろう。肩が震えている。それがハントですらも見ていてもわかってしまうほどで、だからこそそんなジンベエに、ハントは大声を張り上げていた。
「師匠! あんたはそれでいいのかって聞いてるんだ!」
「……っ」
ジンベエが息を呑んで、ハントと一度ぶつかったはずの視線をそらす。それすらも、ハントにとっては気に入らない。
「もう怒った……本当に怒ったぞ! 俺だって師匠に謝らないといけないって思ってたことがあったけど、もう謝らないからな!」
本当に怒っているのか疑いたくなるような口ぶりだが、一応ハントの表情は真剣そのものだ。
「……謝る? なんのこと――」
首を傾げたジンベエをハントは睨み付けて、その言葉をまるで聞いていないかのように大音量で遮って叫ぶ。
「――俺はあんたの弟子で良かったって心の底から思ってる、師匠! さっき言ったばっかりなのにもう忘れたのかよ! 俺はあんたの重荷になりたくてあんたの弟子になったわけじゃない! あんたに助け
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