おまけ2話『師弟』
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いでこのインペルダウンへと幽閉させてしまったという事実は、苦痛以外の何ものでもない。
「それで、どうするのだ」
「……っぅ」
なんとも納得しがたい要求を突き付けられたジンベエに浮かんでいるのは怒りではなく、残酷なまでのそれ。苦痛な顔を浮かべるジンベエは、だがマゼランの言葉に唸り声すらも漏らし始める。
元々エースの処刑を止めるならば自分の命すらも惜しくなかったジンベエだ。それほどの大恩が、白ヒゲにはある。
「……ハントの自由と……白ヒゲさんの大恩に反してエースさんの処刑の天秤じゃという……のかっ」
「そうだ」
もはや絞り出すような声に、それでもマゼランの声は歪まずに、それを肯定する。ハントとエースを何度も交互に見つめて、それで苦しそうな表情を浮かべるジンベエ。
「……」
それを見て驚いていたのは他の誰でもない、ハント。
――師匠のこんな表情って初めて見たなぁ。
もしかしたら現実味を感じていないのかもしれない。そんな風にすら思えるほどに呑気な感想を胸に、それでもハントは驚いていた。いや、流石に実際に目の前の現実を理解はしている。ただ、感情が追い付ていない。だからこそ、まるでそれが他人事であるかのような反応をしている。
それも、ある意味では仕方のないことだろう。いきなり再会した二人が捕まっていて、エースの処刑を聞かされて。そしてジンベエが苦しんでいて。
少し、ハントにとっては受け入れるには決して容易ではない事実の連続すぎる。
ただ、例えこれがハントにとっての夢のように思えるような現実であっても、やはり目の前の師匠で親でもある人物が苦しんでいる人物を見るのは忍びないらしく、ハント自身気づかない内に口を開いていた。
ただし――
「……師匠」
「っハント」
「いくら俺でも怒りますよ?」
――それは少し意外な形で。
「な、なに?」
「ハント?」
確かにハントの声には幾分かの怒りが感じられて、だからこそジンベエとエースが固まった。
「エースの命と俺の自由……師匠風にいうなら、エースの命には白ヒゲさんへの恩もあるでしょう……それでなんで迷うことがあるんですか?」
「し、しかしお前はワシのせいでここに。やっとできたお前さんの仲間とも一緒にいられんように――」
ハントには仲間がいた。懸賞金になった時も、どこか楽しそうな顔が映っていた。だからこそ、仲間との絆があるのだろうとジンベエは思っていた。だからこそ、尚更今ハントがここにいるのが自分のせいだという事実がジンベエにとっての苦痛となっている。だが、ハントはそんなジンベエの言葉を遮り、笑う。
「――確かに仲間と離れたのは辛かったけど、それでも俺は脱獄してでもあいつらに会いに行ってみ
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