第二百五話 支城攻略その九
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「奥羽の大名はです」
「どなたもです」
「使者を寄越していません」
「誰一人として」
「そうか、では伊達もじゃな」
「はい、あの方も」
「全く」
人を送って来ていないというのだ。
「声がありませぬ」
「我等を無視しているかと」
「関東にいる我等も」
「奥羽はまだよいがな」
信長は二人にこうも言った。
「正直言ってな」
「奥羽と九州は、ですな」
「まだよいですな」
「中国、北陸、甲信そして関東を手に入れ」
「それで、ですな」
「今はよいですな」
「うむ、それ以上は望まぬ」
今は、というのだ。だがだった。
それでもだ、信長はこう言うのだった。
「しかしな」
「やがてはですな」
「奥羽も九州も手に入れ」
「そして、ですな」
「天下を一つにする」
「そのことは変わりませぬな」
「そうじゃ、そしてまだ奥羽には手を出さぬにしても」
それでもだと言うのだった、さらに。
「伊達は違う」
「伊達家だけは」
「ここで、ですな」
「加えたい」
織田家のその中にというのだ。
「そして加えられるのならな」
「戦、ですな」
兼続が鋭い目で信長に問うた。
「そうして」
「うむ、降らぬのなら仕方がない」
その時はというのだ。
「その時はな」
「滅ぼしますか」
「そうする」
政宗が降らないその時はというのだ。
「最後の最後じゃ」
「そうされますか」
「ここで北条を降し」
そして、だった。
「伊達も降す」
「それがこの度の戦の最後になりますか」
「そういうことじゃ、北条の後は伊達をどうにかしてな」
「この度の戦を収めますか」
「そして安土に降る」
このことも言う信長だった、やはり奥羽は攻めず関東で終わるというのだ。伊達はそれとは別にであるがだ。
「よいな」
「さすれば」
「その様に」
兼続も幸村も応えた、信長は小田原において戦局を逐一聞き頷いていた、佐竹等関東の力のある家も織田家に降っていた。
そしてだ、そのことは小田原にも伝わっていた。氏康は北条の城が次々に降っていることも関東の大名達が降っていることも聞いていた、そのうえでだ。
己の前にいる家臣達にだ、こう言うのだった。
「わかった、関東はじゃな」
「はい、日に日にです」
「織田家のものとなっています」
「この相模もです」
「城が幾つか」
北条のお膝元であるこの国もというのだ。
「織田家に降り」
「その下に加わっています」
「我が家は日に日にです」
「織田家に侵食されています」
「ほぼ刃は交えていませんが」
「それでもです」
「そしてこの小田原にも」
この城にもというのだ。
「何かとです」
「仕掛けてきています」
「流言が次から次にです」
「出ております
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