おまけ1話『インペル、入っぺる』
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したし、先ほどに感じたそれはとるに足らないような違和感だった。けれどハントの思考はただその違和感へと向けられる。違和感の大小ではない、その違和感自体が空手家として、いや。魚人空手家として決して見逃せない違和感だとなんとなくハントは思っているからだ。
――なんの違和感だ?
考え込み、そこで少しだけ似たことがあったことを思い出す。
「……アラバスタ……あと空島も、か?」
誰に言うでもなく、ただ自分の過去を思い出すように呟き、己の記憶をどうにかして脳内から掻きだしていく。
砂嵐を打ち消すために若葉瓦正拳を打ち込んだ。けれど空気中の水分が少なく、威力が半減したということがあった。空島では少し違うが、雲の海に乗った時に空気に普段とは違うそれを感じたということもあった。
「……空気の違いってことか?」
いつの間にか胡坐を組んで考え出していたハントが、檻の外へと意識を向ける。檻の外から流れ込んでくる凍てつくような冷気とそれを増長させる凄まじい風を今更に思い出して身震いを一つ。そこで、だがまた首を傾げる。
――いや、けど寒いっていうならドラム島も気温だけならきっとこことあんまり変わらないし……じゃあ風か? いや、けどこれぐらいの風なら修業時代に経験してる。暴風雨のなかでだって魚人空手陸式をやったこともあるもんな。
「……っなんなんだ、これ」
苛立たしげに、ハントは吐き捨てる。いつの間にか後ろから聞こえてきていた声は静かになり、ハントの耳に届くのはただ風が吹く音のみ。脱獄に考えをめぐらせることも忘れて、ただひたすらに檻の外から流れ込んでくる凍える風をその身に受けて、違和感の正体を探っていた。
最初、ハントの服を奪おうとした3人組も最早ハントを怒らせないようにすることしか頭にないらしく、ただひたすらにハントの背中を見つめてひそひそと声を交わしていた。
「……?」
視線にも気づかずに首を傾げているハントの瞳には少しずつ別の光が宿ろうとしている。
ハントがインペルダウンに収容され、ただひたすらに首を傾げるという生活を送り始めた頃、ハントを除いた麦わら一味一行は魚人島へと向かう最中、魔の三角地帯と呼ばれる地に入り、新たな敵に遭遇していた。
「いいか! これから取り返さなきゃならねぇもんは大きく分けて二つだ!」
「めし! ナミ! あと影だろ。3つだぞ」
「おお、意外なもんがランクインしてた……ひとまずナミと影の話をさせてくれ」
ウソップの言葉の通り、既に麦わら一味は影とナミを敵の手に奪われることになっていた。ルフィの言葉も借りるならば食糧もだが、それはひとまず置いておく。影を奪われたのはルフィ、ゾロ、サンジの3人だ。
影を奪ったという
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