おまけ1話『インペル、入っぺる』
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「……さっさとそれを目につけろ」
あぁ、バンダナじゃなくて目隠しですか。
「……へいへい」
逆らっても意味がないのでここは素直に言うことを聞いておく。
「では、ついてこい」
引っ張られるままに署長の後ろをついて行く。途中、まるで何かのリフトに乗っているかのような感じで下に降りて「よし、着いたぞ」という言葉を受けた。
リフトが開いて、まず思った。
「さむっ!!」
「ここはレベル5極寒地獄。このフロアで貴様は一生を過ごすことになる」
……うーむ、なんてこったい。
目隠しを外す。
目の前には白銀の世界。氷の世界が広がっていた。
風が吹く。それは冷気どころではなく、凍気。
突っ立ているだけで常人ならばすぐにでも凍死してもおかしくはないその監獄フロア。気温だけでも氷点下の世界にあるというのに、常に強風が吹きすさぶそこは体感温度にするならばいったいどれほどの極寒の世界なのか。
気を抜けばすぐにでも死んでもおかしくはないであろうそのその世界はまさに極寒地獄という名を冠するに相応しく、そこに捕えられている億越えの賞金首の命などいつ凍てついても問題がないという海軍政府の意図が容易に見て取れる。
「……」
そこで、ハントが大きくため息を吐きだして遠い目をしていた。
ここ、インペルダウンの署長マゼランに連れてこられた極寒地獄のフロアの、とある檻。そこに入れられてまだ一時間も経過していない。ここに入るまではどうやって脱獄しようかということばかり考えていたハントがほんの一時間にも満たない時間でそんな遠い目をしているのは、それだけの時間で脱獄を諦めたから……というわけでは当然ない。かといって、もちろん劣悪な環境に身を置いて、本気で命の危機を感じている……という理由からではない。
確かにこの環境は容易く人の命を奪いうるが、このフロアに身を置く囚人は皆一億越えの人間で、ハントもまた同様に一億越えの人間だ。賞金首の額というものはなにも強さだけで決まるわけではないため一概にはいえないかもしれないが、ほぼ皆一般的な市民からすれば信じられない体力を誇っている人間たちで、そうそう容易く凍死してしまうような生命力ではない。
ましてやハントは単純な強さだけでいえばこのフロアの囚人たちのそれを遥に上回っている。この異常なほどに寒い空間にあって、ハントがそうそう簡単に凍死してしまうことはあまりないだろう。
ではなぜため息を吐いて遠い目をしているのか。
答えは簡単だった。
――……えっと?
首を傾げつつ、自分の目の前に立ち尽くす彼らを、ハントはゆっくりと見回した。
ハントを囲む囚人の数は3人。それ以外にも囚人はいるようだが、残念ながらもう
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