第四十五話 博士その八
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「まあ今は気にせんでくれ」
「やけに気になるけれどな」
「そうよね」
「けれどな」
「博士がそう仰るのなら」
「まあとにかくじゃ、お茶と羊羹を楽しみながらじゃ」
既にパイプ椅子にそれぞれ座っている少女達への言葉だ。
「話を続けようぞ」
「ああ、じゃあな」
「お願いします」
薊と裕香が応えてだった、そうして。
少女達はお茶と羊羹を楽しみつつだ、博士の話を聞いた。博士は智和の祖父をさらに言った。
「おそらくな」
「おそらく?」
「おそらくっていいますと」
「彼が君達と関係があるのう」
こう言うのだった。
「わしの見立てではな」
「おい、それどういうことだよ」
薊は博士の今の言葉に怪訝な顔になって問うた。
「一体」
「あくまでわしの憶測じゃが」
「先輩のお祖父さんとあたし達がどういう関係があるんだよ」
「そこまではわからんが」
それでもだというのだ。
「少なくともじゃ」
「少なくとも」
「君達の力じゃが」
「気を火や水にしたりか」
「そう、潜在能力を出したりのう」
「あとこういうのだよな」
言いついつだ、薊は自分から手に七節棍を出してみせた。そうして言うのだった。
「何で出ろって思えば出て来るんだよ」
「それもじゃ」
「錬金術かよ」
「それは魔術かのう」
そちらではないかというのだ。
「これもわしの推測じゃがな」
「そういえば錬金術と魔術ってな」
「さっき話したのう」
「先輩からも言われたよ」
「そうじゃな、錬金術と魔術、仙術は関係がありじゃ」
「それであたし達のこの力はか」
薊はその七節棍を見る。力に目覚める前からも手にしているがそれでもだ。今はまた違った思いのうえで言うのだった。
「魔術か」
「おそらくその武器はな」
それは、というのだ。
「別の空間にあってじゃ」
「そこからか」
「君達が出ろと思えばな」
それで、というのだ。
「手に出てな」
「使えるんだな」
「そうではないかのう。しかし」
「しかし、か」
「君達は何者かは」
そのことはというと。
「人造人間の可能性もな」
「おいおい、あたし達もかよ」
「そんな気がするのじゃ」
「いや、それはないだろ」
薊もこう言ってだ、ここでだ。
他の面々に顔を向けてそうだろ、と言おうとした。しかし。
自分でだ、こう言ったのだった。
「いや、違うな」
「考えが変わったな」
「あたし達の身体にある魔術、それにな」
「それじゃな」
「力のこと、何よりもな」
ここで薊が言うことはというと。
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