第四十五話 博士その六
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「しかしな」
「しかし、ですか」
「それだけのものをいつも造られるとなると」
それこそ、というのだ。
「相当な錬金術師じゃな」
「心当たりありますか?」
「サン=ジェルマン伯爵等数人じゃ」
智和と同じ名前を挙げた。
「それこそな」
「その人のことは先輩からも聞きましたけれど」
「実は今も生きておる」
博士は菊にも答えた。
「わしも会って話をしたことがある」
「えっ、そうなんですか」
「ある場所でな」
こう真顔で話すのだった。
「会った、その他にはな」
「伯爵以外には、ですか」
「後はパラケルスス博士やカリオストロ伯爵か」
「そうした人達がですか」
「造った、しかし」
「しかしですか」
「もう一人おった」
新たな人物もだ、博士は話に出した。
「智和君のお祖父さんじゃ」
「その有名な科学者だったっていう」
向日葵は目を丸くさせて博士の言葉に応えた。
「あの人がですか」
「うむ、実は錬金術にも造詣が深かったのじゃ」
「それで、ですか」
「君達にも何かしておったのかな。それに彼はカリオストロ伯爵と仲が悪かった」
この伝説上の人物と、というのだ。
「何かと衝突しておった」
「そうだったのですか」
桜も驚きを隠せない顔だった。
「そんなご関係だったとは」
「意外じゃろ。そしてな」
「そして、ですか」
「彼も人造生命を造ることが出来た」
それが可能だったというのだ、智和の祖父もまた。
「勿論黄金もな」
「不老不死もですか」
菫はこのことも問うた。
「やはり」
「彼はそちらには興味がなかった」
不老不死には、というのだ。
「確かに錬金術には不老不死もあるがのう」
「仙術にもですよね」
鈴蘭はこのことを問うた。
「そうですね」
「うむ、仙術と錬金術は互いに影響を与えておるからのう」
それで、とだ。博士も鈴蘭に答えた。
「これは魔術、陰陽道、妖術、様々なオカルトに属することで同じじゃ」
「そうなんですね」
「シルクロードや海を通じて東西はつながっておった」
そうした話にもなるのだった。
「だからじゃ」
「錬金術にも不老不死があるのですね」
黒蘭も言う。
「そうなのですか」
「そうじゃ、ただ彼は不老不死についてはこう言っておった」
「先輩のお祖父さんが、ですか」
今度言ったのは裕香だった。
「あの人が」
「人は必ず死ぬと言ってな」
それで、というのだ。
「その摂理はみ出してはならに、そしてじゃ」
「そしてですか」
「永遠に生きて休めない、生まれ変われないのも嫌だと言ってのう」
そうした考えだったというのだ、智和の祖父は。
「それでじゃ」
「不老不死については」
「研究はしておったが使わなかった」
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