第四十五話 博士その五
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「博士は知らないだろうな」
「そうだと思うわ、これからお会いしに行くけれど」
「じゃあ行くか」
あらためてと話してだ、そしてだった。
戦いを終えた一行はあらためて博士の研究室に向かった。そこは棟の一つの一階にあった。扉を見ると在室中とあった。
その在室中という言葉を見てだ、菖蒲は仲間達に問うた。
「それじゃあ」
「ああ、入ろうな」
薊が覚悟を決めている顔で答えた。
「これからな」
「そうしましょう」
菖蒲はその扉をノックした、すると。
「どうぞ」
老人の声だった、その声を受けてだった。
一行は扉を開けてその中に入った、そして。
中に入るとだ、その研究室の中は。
本棚が縦で奥まで何列も連なっていた、それも先が見えないまでに。しかもその本棚はどれも本で一杯になっている。 かなり風変わりな図書館を思わせる部屋だった。
そしてだった、机にだ。
小柄な長い髪のに顔中をやはり長い髭に覆われた老人がいた、その髪も髭も雪の様に白い。
服は黒いスーツでありネクタイもだ、その老人を見てだ。
薊がだ、まずは唾を飲み込んでから問うた。
「悪魔博士っていうのはあんただよな」
「そうじゃ」
その通りだとだ、老人は薊に答えた。
「正式な名前は違うがそう呼んでくれ」
「そうなんだな」
「それで御前さん達は何じゃ?智和君からおおよそ聞いておるが」
今度は博士から薊達に問うた。
「制服はどれもうちの学園の高等部のものじゃが」
「ああ、高等部の学生だよ」
その通りだとだ、薊は博士に答えた。
「実際にな」
「そうじゃな」
「それで実はあんたに聞きたいことがあるんだよ」
「それで来てくれたのじゃな」
「ああ、あたし達のことにな」
「ふむ。少し話してくれるか」
「ああ、それじゃあな」
こうしてだ、薊は自分達のことと怪人達のことをそれぞれ話した。博士は全て聞いてから薊達にこう答えた。
「妖怪の類ではないな」
「怪人はか」
「うむ、かといっても普通に生まれた連中ではない」
「それじゃあ何なんだよ」
「ホムンクルスじゃ」
それだというのだ。
「人造人間とも言っていいが」
「先輩と一緒のことを言うな」
「智和君はただ頭がいいだけではないからのう」
「そうした知識もあってか」
「それで君達にも言えるのじゃ」
その様な話を、というのだ。
「オカルトの分野についても考えてな」
「そうなんだな、そしてそれは」
「わしもじゃ。わしのことは智和君から聞いておるな」
「何でも知っているんだよな」
「大海の中の小匙一杯分だけな」
このこともわかっているという口調だった。
「わかっておるからな」
「小匙一杯かよ」
「人の知識は限られておる」
それで、というのだ。
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