第四十五話 博士その一
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美しき異形達
第四十五話 博士
薊と向日葵は怪人達と向かい合っていた、既にその手には武器がある。
薊は己の得物である七節棍を両手に持って構えつつ相手であるカミキリ虫の怪人に対して笑みを浮かべて言った。
「じゃあちゃっちゃって済ませてな」
「それからっていうんだね」
「博士のところに行かせてもらうぜ」
「博士?」
博士と言われてもだ、怪人は知らないといった風であった。声にそれが出ていた。
「誰かな」
「こっちの事情だよ」
薊もこう返す。
「あたし達のな」
「じゃあ言っても仕方ないな」
「そうだね、じゃあね」
「ああ、それじゃあな」
「行くよ」
こう言ってだ、そしてだった。
怪人達はまず空に飛び上がった、その背の羽根を使って。
それは蛾の怪人も同じだった、こちらも飛んだ。
そして上からだ、向日葵に対して言った。
「行くわよ」
「虫だからなのね」
「そう、虫は飛べるのよ」
このことは種類によるが多くはそうだ。
「だからその利点を活かすわ」
「そういうことね」
「人間は飛べないわ」
少なくとも自力ではだ、だからこそ人間は空への憧れを持っていて古来より飛びたいと思い遂には飛行機まで発明したのだ。
「その違いがあるわね」
「そうね、けれどね」
「けれどなのね」
「私は勝つから」
怪人を見上げての言葉だ。
「飛べなくてもね」
「言うものね」
「自信があるから」
だからこそ、というのだ。
「それを見せてあげるわ」
「そう、じゃあ見せてもらうわ」
こう言ってだ、上からだ。
怪人は向日葵に襲い掛かった、向日葵はその一撃離脱の急降下攻撃をまずかわした。これから闘いがはじまった。
それは薊とカミキリ虫の怪人も同じだった、怪人は急降下攻撃を浴びせてだった。薊がかわる。まずはその繰り返しだった。
その中でだ、薊は怪人を見つつ言った。
「いい攻撃だな」
「よくかわすね」
怪人も上から言う、攻撃の後で。
「いい動きだよ」
「そう言ってくれるんだな」
「うん、伊達にこれまで生き残ってきた訳じゃないね」
「ただ生き残ってきた訳じゃないぜ」
上で羽根を動かしホバリングしている怪人に返した言葉だ。
「あたしはな」
「勝って来たっていうんだね」
「そうさ」
こう言うのだった。
「あたしだってな」
「そして勝ってきた分だけだね」
「強くなってきてるんだよ」
「だからだね」
「あんたの攻撃はかわせるさ」
「そうだね、けれどね」
それでもだとだ、また言った怪人だった。
「僕もね」
「負けるつもりはないだろ」
「そうだよ、君達を倒すことが僕、僕達の使命
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