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オズのベッツイ
第四幕その四
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「あんた達の心を癒してくれてるんだからね」
「偉そうだけれどね」
「実際に偉いの」
「猫だから?」
「それ以外に理由はないわよ」
 本当に偉そうなガラスの猫でした、自信満々な態度で。ですが一行からは離れません。そうしてなのでした。 
 薊と石の壁に囲まれた丘の上の都を見てでした、ベッツイは皆に言いました。
「あれがなのよ」
「はい、薊の国ですね」
「私達が今から行く」
「そう、着いたわよ」
 こう言うのでした。
「じゃあいいわね」
「はい、それじゃあですね」
「今からですね」
「皆一旦靴と靴下を脱いで」
 ベッツイは懐からでした、白くて丸い容器に入ったお薬を出しました。
「これを足の裏に塗ってね」
「それが、ですね」
「宙を浮かんで歩ける様になるお薬ですね」
「そうなんですね」
「そうよ、じゃあ塗ってね」
 早速というのです。
「いいわね」
「わかりました、そしてですね」
「薊を越えて」
「あの国の人達に会いに行きましょう」
 こうしてでした、皆一旦靴と靴下を脱いでベッツイから受け取ったそのお薬をそれぞれの足の裏に塗りました。ハンクにはベッツイが蹄の裏に塗ってあげてガラスの猫にも同じ様にしました。猫はここでベッツイに言うのでした。
「私は薊でも痛くないわよ」
「ええ、けれどね」
「けれど?」
「皆が浮かぶのならね」
「私だけ違うのはっていうのね」
「そう思うからよ」
 だからだというのです。
「塗るつもりだけれど」
「お付き合いってことね」
「嫌?」
「別に嫌じゃないわよ」 
 猫は今度は素っ気なくベッツイに答えました。
「浮かんで歩くのも面白そうだし」
「じゃあそれでいいわね」
「いいわ、じゃあ行きましょう」
「それではね」
 こうしてでした、皆でです。 
 宙を浮かんでふわふわと歩きながらです、薊の上を進むのでした。ナターシャはそうして歩きながらベッツイに言いました。
「何か歩いている様で」
「歩いていない感じでしょ」
「はい、何か」
 そうだと答えるのでした。
「飛んでいるのとはまた違って」
「歩いていても踏んでる感触がなくてね」
「それでも進めていて」
「不思議でしょ」
「本当に魔法なんですね」
「そう、科学と合わさったね」
 まさにそれだというのです。
「これはね」
「そうですよね」
「じゃあいいわね」
「はい、このままですね」
「薊を越えてね」
 そしてというのです。
「先に進みましょう」
「石の壁の前までですね」
「あそこまで行って」
「そう、石の壁は実は何もないから」
 石の壁は確かにあります、ですが実はそこには何もないのです。
「安心して行きましょう」
「わかりました」
 こうしたことをお話してでした。
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