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とあるβテスター、奮闘する
挿話
とあるβテスター、人形遣いと出会う
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に撫でられながらうっとりとしている(ように見える)西洋人形―――プレイヤーにテイムされたモンスターというアインクラッドでも珍しい存在に、シェイリも興味津々といった様子で目を輝かせている。
実を言うと僕もビーストテイマーに会ったのは初めてなので、ネットゲーマーの端くれとして興味を惹かれないこともなかった。

この女性のようにモンスターのテイミングに成功したプレイヤーは、通称《ビーストテイマー》と呼ばれている。
戦闘中、ごく稀にモンスターがプレイヤーに対して友好的な態度を示してくることがある。
その際にモンスターの好物を与えるなどして手懐けることができれば、カーソルの色がグリーンへと変わり、以後はそのモンスターを《使い魔》として使役できるようになる。要はペットのようなものだ。
使い魔の戦闘能力自体はそこまででも高くないものの、様々な能力でプレイヤーを補助してくれるらしい。
この女性が昼寝中の見張りを任せていたというのも、西洋人形のAIに索敵行動が組まれているからこそなのだろう。

とはいえ、一口にテイムといっても言葉ほど簡単ではなかったりする。
せっかくチャンスが訪れても、そのモンスターの好物を持ち合わせていなければテイミング失敗となってしまうし、対象と同種族のモンスターを今までに一度でも倒していた場合、その時点でテイムの資格を失ってしまう。
他にも条件があるのではないかと噂されてはいるものの、肝心のビーストテイマー自体が極端に少ない―――というか、今現在確認されているビーストテイマーは一人しかいないため、テイミングシステムそのものが未知の領域といった具合で、未だに詳しい条件は判明していない。
何ヶ月か前に、SAOで初めてモンスターのテイムに成功したという少女―――確か《竜使い》と呼ばれていたプレイヤーにしても、偶然出会ったモンスターに袋入りのナッツを与えてみたところ、その一度きりでテイムに成功したのだというから、条件を絞りようがなかった。
何にせよ、相当に運が絡むイベントで、尚且つ狙って出せるようなものでもないということだけは確かだろう。

「それにしても《ボーパルパペット》をテイムするなんて、随分と運がいいんですね。……えっと」
「おっと失礼、私としたことがまだ名乗っていなかったね。ちなみにキャラクターネームとリアルネーム、お嬢さんはどちらを御所望だい?」
「いや、普通にキャラクターネームのほうですけど。というかお嬢さんって……」
ビーストテイマー―――この場合は人形遣い《パペットマスター》とでも呼ぶべきか―――の女性は、僕の顔を見てからそう言った。
アバターの姿が現実世界と同じになってから、何かと子供扱いされることは多かったけれど、こうしてお嬢さん呼ばわりされるのは初めてのことだった。
アルゴあたりが知ったら聞こえよ
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