挿話
とあるβテスター、人形遣いと出会う
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、私はそろそろ行くとするよ」
僕がナナミヤさんへ軽蔑の目を送っている間に生肉を食べ終えたらしく、彼女の腕の中ではぺんぺん丸が満足そうな様子で寛いでいた。
そんな西洋人形の頭を一撫でしてから、ナナミヤさんは「どっこらせ」という掛け声と共に立ち上がる。紳士のような口調で話す割に、変なところで年寄り臭い人だった。
「……あれ、ナナミヤさんソロなんですか?」
「ん、まあそんなところだよ。パーティというのはいまいち煩わしいのでね」
「そうなんですか」
僕の質問に、ナナミヤさんは肩をすくめてみせた。
まあ、確かにこの人ようなタイプはパーティでは浮いてしまうことだろう。
こうして少し話しただけの僕ですら、今は猛烈な疲労感に襲われているくらいなのだし。
SAOにパーティメンバー募集は数あれど、ナナミヤさんのような人を受け入れてくれるところはなかなか見つからないのではないだろうか。
「それにこの子と友人になってからは、こうして人気のないダンジョンの安全エリアを渡り歩く生活さ。この子を連れて街に戻って、周りから騒がれるのは好ましくないのでね」
「ああ……なるほど」
SAOでのビーストテイマーといえば、大変に希少価値のある存在だ。
なにせ現状で確認されているのが《竜使い》ただ一人だけなのだから、こうして二人目が現れたということが周囲に知られれば、たちまち注目を浴びることになるのはまず間違いないだろう。
例の竜使いの少女などはもはやアイドル扱いであり、テイム成功から数ヶ月経った今でも、未だにパーティに引っ張りだこなのだという話を聞くほどだ。
ナナミヤさんも少女という年齢ではないにしろ、男女問わずに引き込まれてしまいそうになるような不思議な魅力を持った女性だ(変人だけど)。
加えて二人目のビーストテイマー―――《人形遣い》ともなれば、竜使いの少女に負けず劣らず、例え本人が望まずとも周囲のプレイヤーたちが放ってはおかないだろう。
彼女がそういった騒がしさを煩わしいと思うタイプだろうというのは、僕にもわかった。こうして人気のない安全エリアを渡り歩いているというのも頷ける。
頷ける―――けれど、やっぱりおすすめはできないよなぁ……。
「あの……ナナミヤさん、よかったら外まで一緒に行きませんか? いくらその子がいるとはいっても、ソロだと万が一ってこともありますし」
「ふむ?」
「なんなら圏外村まで送りますよ。圏外といっても宿屋に泊まれば安全ですし、他のプレイヤーが来ることも滅多にありませんから」
PK可能地域というのが少し不安ではあるけれど、それはダンジョンの安全エリアにしたって同じことだ。
むしろ宿屋に泊れば安全な分、ダンジョンで寝泊まりするよりはいくらかリスクも低くなる。
いくら変な人とはいえ、このまま別れて万が一死なれてし
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