挿話
とあるβテスター、人形遣いと出会う
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」
自分でもわかるほどに顔が引き攣ってしまった僕を、ナナミヤさんは心底不思議そうな顔で見つめる。
そんな彼女の腕の中では、ぺんぺん丸が作り物であるはずの口を「がばぁ」と開き、一心不乱といった様子で生肉にむしゃぶりついていた。
どうやら彼女は肉食系女子ならぬ肉食系人形であるらしかった。正直に言ってかなり怖い。
「……ちなみにお聞きしたいのですが、ナナミヤさん。ひょっとしてそれ、いつも持ち歩いてるんですか……?」
「これのことかね? もちろん持ち歩いているとも。なにせこの子の大事な食糧だからね」
「そ、そうですか……」
「ちなみにこの肉は《コウシア族》と呼ばれる人型モンスター達がドロップするもので、今私が手にしているものだと、そうだな……恐らく人間でいうところの―――」
「やめてください!聞きたくないです!」
ご丁寧にも人間のどの部位にあたる肉なのかということを解説しようとするナナミヤさんを、僕は慌てて制した。
ただでさえ、目の前では生肉にがっつく西洋人形という不気味な構図が広がっているというのに、その人形が食べているのが何の肉かなどという詳細は聞きたくもなかった。
「ゆのゆのは些か好奇心に欠けているように見受けられるね。まだ若いというのに嘆かわしい」
「いや、別に好奇心がないわけではないですけど……グロいのはちょっと」
「おや、それは失礼。言われてみれば、この子の食事風景は初めて見る者には少々刺激が強かったかもしれないね。すまない、この通りだ」
「は、はぁ……別にそこまでしなくてもいいですけど」
申し訳なさそうな顔で頭を下げるナナミヤさんに、僕は少しばかり罪悪感を抱いてしまう。
確かにホラー映画じみた光景だったけれど、ぺんぺん丸だって生きている(?)以上は食事をしなければならないし、僕がとやかく文句を言えるようなことではなかったかもしれない。
そんな主人の様子を感じ取ったのか、今まで夢中で生肉を貪っていたぺんぺん丸までもが食事を中断し、主人を倣ってぺこぺこ頭を上下に振っていた。
うう、そんな風にされると申し訳なくなってくるじゃないか……。
「あ、あの、ナナミヤさ―――」
「……ふむ、ゆのゆのはよく見ると安産型のようだね。ますます私好みだ」
「どこ見てんだてめぇ!!」
そんな僕の罪悪感は、次のナナミヤさんの発言によって跡形もなく消し飛んだ。
どうやら頭を下げながら、僕の下腹部のあたりを凝視していたらしい。
一際大きな声で叫んだ僕はマントで身体を隠し、ナナミヤさんを睨み付けた。
前言撤回。こいつ最悪だ。
「ははは、冗談だよ。そう警戒した目で見ないでくれたまえ。いくら私でも18歳未満には手を出さないさ」
「………」
そういう問題じゃねぇよ。
「――さて。この子の食事も済んだことだし
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