挿話
とあるβテスター、人形遣いと出会う
[2/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
り糸の動きに合わせるように、等身大のマリオネットたちは全身各所の関節をカクカクと揺らしながら、ゆっくりぎこちない動きでこちらに迫ってくる。
そんな様子に怯える僕とは裏腹に、人形達はにっこりと満面の笑顔だ。だけど、元々の顔の造りがホラー映画に登場するクリーチャーよろしく不気味なものだったので、彼女達の笑顔はかえって僕の恐怖心を倍増させたに過ぎなかった。
「ユノくん、お人形さんかわいいね〜!」
「どこがだ!!」
「見て見て、首がぽろってなってるよ〜!かわいいっ」
「可愛くねぇよ!!」
嬉しそうにはしゃぐシェイリに、思わず声を荒げて突っ込んでしまう僕。
いつものことながら、彼女の感覚はどこかずれているように思えてならない。
こんな不気味なことこの上ない人形が可愛いなんて、相方である僕から見てもちょっとどうかと思う……。
「あ、ユノくん後ろっ」
「えっ―――ひぃぃぃぃっ!?」
「ダメだよー、ちゃんと後ろも注意しなきゃ―――ってユノくん!?何してるの!?」
「フィ……フィフスペンタグラムぅぅぅッ!!」
「ユノくん落ち着いて、無駄遣いはダメだよっ! あとそれ叫ぶ必要ないよね!?」
そこからのことはあまり思い出したくはないけれど、こんな流れがあったようななかったような、といった感じで。
普段マイペースなシェイリの貴重な突っ込みという一場面こそあったものの、人形達は見てくれが不気味であることを除けば強さも大したことはなく、戦力的には僕とシェイリの二人だけでもこれといって問題はなかった。……戦力的には。
「あーもう……、いくら何でも取り乱しすぎだろっていうね……。我ながら恥ずかしくて消え入りたいよ……」
それからいくらか時間が経って。
動揺のあまり最高威力のソードスキルによるオーバーキルを連発し、あまつさえ意味もなくソードスキルの技名を叫びまくり、あろうことかシェイリに突っ込まれるという醜態を晒してしまった僕は、どんよりとした気分で頭を抱えた。
そろそろ小休止しようということになり、安全エリアを目指して歩いている最中にも、僕は遅れてやってきた羞恥心に苛まれ続けていた。
穴があったら入りたいというのは、きっとこういう状態のことを指している言葉なんだろう。
「大丈夫だよ〜、ユノくん。わたしはそんなユノくんも見慣れてるから、今更だよ〜」
「それ、フォローのようで追い打ちだから。ちょっと傷付くから」
そんな僕に、シェイリは出来の悪い子供を温かく見守るかのような笑顔で言った。
いや、フォローしてくれるのはありがたいんだけど……僕、いつもはそんなに酷くないだろ?
その言い方だと普段から醜態晒してばかりいるみたいに聞こえるじゃないか……。
「……まあいいや。そろそろ安全エリアに着くはずだから、着いたら30分くらい休
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ