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本日のお題
4/24 ヒーローみたい
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 言いながら煙草を携帯用灰皿に押し付けて素直に凭れかかり、肩に顎を乗せて遠慮がちに背中に腕を回して抱き着いてくる。そんな動作が堪らなく愛しくて、俺より大きな身体を強く抱き締める。
 この人は高い矜持が邪魔をしてなかなか素直になれないだけで、本当は結構甘えるのも甘やかすのも嫌いじゃない。
 こうして機会さえ作ってやれば、ぎこちない仕草で甘えてくる。俺だけが知っている、この人の顔。
「本当はすぐに保健室行かねェとだけど……」
「……先生いるだろ」
「だから、もう少しこのままでいやしょうか」
「ん」
 首を捩って見てみれば黒髪から覗く耳がほんのりと赤い。
「土方さん、ちゅーして下せェ」
「……」

 いつもなら断られるだろうお願いに、土方さんは気まずそうに顔を上げて――そっと触れるだけのキスをくれた。

 それが精一杯だったらしく、触れたのはほんの一瞬。それでも俺の心は充分過ぎるほどに満たされていく。
「何驚いてんだ」
「いや、断られると思ってたんで」
「……今日は特別だ」
 そう言って土方さんは悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 ――こんな顔を見れるなら、たまにはアンタだけのヒーローになってやらなくもない。
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