誕生、前代未聞の冒険者
第二話
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担任を名乗るジャージの男性にみっちりと説教を受け、いまだお小言をいただいている僕こと楠瑛士。
「受験に失敗したからと飛び降りる奴がいるか!しかもよりによって卒業式の後に!」
「はあ、…ごめんなさい。」
「…まあ、幸運にも土壇場で『アーティファクト』を取得して自殺を止めたんだ。この話は終わりにしよう。」
男性が手を叩いて話を切り上げた。アーティファクト?何ですか?それ。
「うむ。今の世に『ダンジョン』で生計を立てるのは最早常識、だが、ダンジョンの魔物は強大だ。故に、ダンジョンに挑む者、『冒険者』は強力な魔法を覚えたり、装備を調えなければならない。ここまではいいな?」
一から十までツッコミ所しか無い件はどうしたらいいのだろうか?ダンジョン?魔法?ゲームじゃあるまいし。だが、話の腰を折るわけにもいかないので、続きを促す。
「その中に、貴重な太古の武具がある。それをアーティファクトと呼び、アーティファクトが使う者を選び、得た者のみがその力を自在に操ると聞く。お前は宝くじの一等を当てる以上の幸運を得たのだ、楠よ。」
ラッキーらしいです。実感は無いですが。
『その通り!』
「!!誰だ!?」
突如として発せられた虚空よりの声に、周りを見渡すが、誰もいない。そう、『誰も』いないのだ。先程まで話していたジャージの教師すらも。
『落ち着きなさい。私は、アーティファクトを得た者を導く存在。現在、君を元の空間から一時的に隔離している。事が済めばもとに戻る。』
「…怪しい事だこと。」
『疑惑はもっともだ。だが、君をこの世界に誘ったのも、元は私なのだよ。』
発言が理解できない。元の原因?なんだと言うのか。
『先に君に接触した異なる次元の君、つまり「元々この世界にいた楠英司」のアーティファクトの能力は、最適な行動の提示。加えて得意としたのは、「魂の操作」。そして、それを教えたのが私だ。』
「何の為に?」
『得たものがより良く明日を生きるために。彼はアーティファクトを使い、別次元からこの世界に適した自分を探し出し、「魂を入れ換えた」のだ。』
声と元々いた僕とやらがやったことは分かった。が、動機を聞いていない。僕は散々だったけれど、と言っていた。何が彼を、僕を動かしたのだ?
『私は切っ掛けに過ぎない。何を成すも、全ては当人次第なのだから。』
「知りたければ調べろ、か、分かりましたよ。で?僕は何をすれば?」
『簡単なこと、身に付けたアーティファクトの使い方を覚えればいい。現実の時間も状態も一切変わらない、存分に暴れ、力を知るといい。』
言い終わると、声は何も言わなくなった。試し射ちしてみろ、と言うことらしい。これをアーティファクトを収得した奴が全員やっていると思うと、微妙な気もするが。
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