悪魔-メフィスト-
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彼らはトリステイン国内からの優秀な男性メイジたちがかき集められている。しかしそんな彼らでも、怪獣にまともな手傷を負わせることさえもできなかった。しかもその矢先にワルドの裏切りも重なって、民や内部からの信頼が底を尽いている。しかも自分たちに代わる民を守る存在もある。その焦りが彼らの暴走を招いてしまったのだろうな」
「………」
役立たずのレッテルを張られた魔法衛士隊と違い、自分たちは苦戦を強いられたり失敗を重ねたことはあるものの、それでもこれまでの戦いでたくさんの人たちを守ってきたサイトとゼロ。魔法衛士隊にとって、それが逆に自分たちの無能さをさらけ出す結果を導いた。つまり、彼らの独断が自分たちの存在もまた影響が強かったのだと実感したのだ。サイトは、そしてゼロはアニエスの話を決して他人ごとではないと自覚した。
そしてサイトの心に、迷いが生じる。人のためと思い、地球に帰るまで、そしてこの世界の脅威が去るまでゼロと共に、人を守るための戦う道を選んだ。その選択が、逆に魔法衛士隊を苦しめてしまったのか…?
と、サイトがらしくない思考の中に入り込んだ時だった。
「た、隊長!」
突如、銃士隊兵の一人が声を上げる。アニエスがその声の方へ視線を泳がせ、サイトとルイズもまた同じように見やると、木陰から、または木の上から飛び降りる形で人影が現れる。それも一人や二人ではない。数十人もたくさんの人間の集団が、サイトたちを取り囲んでいた。
「こいつら…魔法衛士隊の連中です!」
ミシェルが彼らを見て、驚愕で声を荒げた。目を細めるアニエス。ミシェルの言う通り、たった今飛び出してきた者たちは、アンリエッタ捜索のために先行した魔法衛士隊ヒポグリフ隊の戦士たちだった。
「な、なんだ味方か…脅かさないでよ」
「いえ、あの目をよくご覧なさい」
魔法衛士隊と知ってホッとするルイズだが、直後にアニエスが警告を入れるようにルイズに言った。その言葉に、サイトとルイズは改めて衛士隊たちの目を見る。
得物を狙う猛獣のような目…いや、猛獣よりも恐ろしい目だった。焦点が合っておらず、目に光を宿していない。それに足の動きもおかしい。おぼつかなくてぎこちないじゃないか。
「まさか、この人たち…正気を失っているのか!?」
サイトは以前似たようなことを体感したことがある。モット伯爵によって無理やり連れて行かれたシエスタを連れ戻そうと、伯爵の屋敷に乗り込んだ時だ。彼らとよく似た人間の敵と遭遇し戦闘に入った。しかもあの時のタバサの話だと、すでに彼らは死後から時間が経過していたという。だとしたらこの人たちも、もしや…。
「UUUAAAAAAAA!!!!」
魔法衛士隊の一人が、獲物に食らいつく獣のごとく飛び上がり、襲い掛かってきた。最初に狙われたのは銃士隊の一人の女性兵士。
「ち!」
剣を抜いた彼女
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