悪魔-メフィスト-
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「じゃあ、もしかしてあいつが…」
ラグドリアン湖や近くの森の木々ごと、周囲を闇の空間に包みこんで見せたメンヌヴィルの、たった今の行いを見て、サイトたちの中にある確信が生まれる。
「どうする?ここは光を飲み込む闇。お前たちに不利な空間で戦うか?」
三人を、特にメンヌヴィルはシュウに視線を向けて笑いながら問う。
「姫様!もうわかっているはずです!この空間は黒いウルトラマンが作り出している暗黒の世界です!ウェールズ様を使って、あなたを闇の世界へ連れ込もうとしているんですわ!」
メンヌヴィルの手で展開されたこの闇の空間を見て、少なからずアンリエッタの心に揺さぶりがあったことだろう。ルイズは再度説得を試みる。だが、それでもアンリエッタはウェールズへの執着から、それを認めようとしなかった。
「ルイズ、さっきも言ったはずよ…私はすべてを捨ててでもウェールズ様と共にある。邪魔をすると言うのなら、いかにお友達であるあなたでも…ウェールズ様に危害を加えようと言うのなら…」
自身のウェールズへの愛を貫こうとルイズに杖を向けるアンリエッタ。が、シュウはアンリエッタの言葉に、明らかな苛立ちを募らせた。
「姫、いい加減にしろ。死人になった男を愛し続けるのは勝手だが、ここまで来ると見苦しくてかなわない」
「ッ!あなたに何がわかるの!」
サイト以上に否定的な言葉を述べたシュウに、アンリエッタは激昂し、ついに激流のような水魔法をシュウに向けた。シュウはそれに対し、エボルトラスターを取り出して前に突き出すと、光の盾が現れ彼を守った。
「え…!?」
自分はトライアングルメイジだ。戦い慣れてはいないが、魔法の力と才にはそれなりに自負しているだけはある。だが、それをこうもあっさり防がれたことに彼女は驚愕する。
「何がわかる、だと?だからどうしたというんだ?それは今のあんたの行動を正当化できる免罪符じゃない。まして、あんたの身を案じてここまで来た者たちの思いを無視していい理由にもならない。
もしあんたがこの闇の奥に身を委ねることになれば、あんたと同じ痛みを抱く者が増えていく。少なくとも、目の前にいるお友達はな」
驚き慄く彼女に対し、シュウはさらに追い詰めるかのごとく、背後に立つルイズを一瞬だけ見ながらア
ンリエッタに強く言った。
「ヴァリエールの言葉から、耳を塞ぐな。あんたは…『まだやり直せる』んだからな。俺と違って…な」
「まだ…?」
シュウの、何か深い意味を孕んだ言葉にサイトは目を丸くした。
「これ以上僕のアンリエッタを惑わさないでくれないかな?」
黙っていられないのかウェールズもシュウに対して黙るように言うが、それでもシュウは黙ろうとしない。
「何度だって惑わしてやる。その闇の奥にあるのは、ただの地獄だからな」
「地獄…ですって…!!」
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